ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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おおよそ、ゼロ日記。

今日は日記を書く。 誰がなんと言おうと、まあもちろん誰もなにも言わないけれど、いや誰かが何かを言うかも知れないけれど、そんなことは知らねえ、今日の日記を、ありのままに出来るだけ正確に書くと決めたのだ。 いまこの日記を書き始めたら雷鳴が轟いた…

ロスト・ラビュリントス、あるいはミーノータウロス消失日記。

昨日の夜、眠ったのがいつなのかが、わからなかった。 ある瞬間、気が付くと、食後の洗い物もすべて終わらせてあったし、部屋の電気もすべて消してあった。真っ暗闇の部屋に立っていた。はっ!と思って、「もう眠らなきゃ!」と洗面台で歯を磨きだした。 で…

タトゥー 後編 其ノ弐

西アフリカ奥地の森のなかに住むある部族には、生まれながらにして体に模様を持つ子どもたちがいたという記録が残っている。 体の模様に関する一般的な考察によれば、いわゆる原始の入れ墨に関して、その起源は外的な要因による偶発的な身体への着色(傷や怪…

タトゥー 後編の其一

カリンがいなくなってから、ぼくは日常とは何かということを、狂った猿のように繰り返し繰り返し考え続けた。いや違う、まだ狂う前だから考え続けたのかもしれない。ぼくはまだ狂った猿ではないから、考え続けられたのかも知れない。 狂ってしまったほうがど…

タトゥー 中編

カリンがいなくなってから二年と少しが経った。 二年と少し前のあの日、「八時くらいにきみの部屋にいくね!」というメッセージを最後に、カリンはぼくの前から姿を消した。消えてしまったのが、ぼくの前からだけなのか、あるいはこの世界からなのか、それは…

タトゥー 前編

『これは宝物の場所を印した地図なんだよ。』 カリンは目を閉じてシャワーの水を頭から浴びながら、小さな声でそう言った。浴槽の湯に体を半分沈め、湯気に煙るバスルームの天井を見上げていたぼくは彼女の方に目をやった。 「母さんが、いつも幼いわたしに…

サケブナス、ゴラアナ日記。

近所の高台に稲荷神社がある。 この地に暮らし始めてから、もう何度も何度もその稲荷神社には足を運んでいるが、それはいずれも昼間でさ、夜に行ったことがないなあと、ふとこの夜更けに思う。 ちょっと、いまから行ってみようかなって・・・。 ぼくは神道や…

悪夢と猫夢と、ミッドナイトゴダイヴァ日記。

きょう、小さな区切りを迎えた。 花をもらって、チョコレートと日本酒をもらって、半分の作り笑いと半分の本当の笑みを浮かべて、その後、家路についた。 そしてビリー・アイリッシュを聴きながら黙々と夕食を作り、気が付けば夜の十時前、やや古いアメリカ…

二百年後にワンダーウーマンと朝食を、ってジャスティス日記。

平等という言葉があって、あるいはそういうシチュエーションを求められる機会はアホみたいに多くて。そして、平等なんてことの意味も、言葉の意味すらもまったくわかっていないアホどもから、そういうことを無駄に畳み掛けられることが、この数年しばしばあ…

カーテンの隙間から見える白い羽のようなものは、あれはいったい日記。

ぼくの守護天使のひとりが、ある時こう言った。 「長く生きたくなんて、ないんだもん。どう生きるかなんて、わたしが決めることでしょ、そろそろ死にたいのよ、そんなこと、勝手にさせてほしいの。」 ぼくも、そう思う、大いにそう思う。 命を、その周辺のな…

ジョン・ドー・ドリーム・ダイアリー、あるいはフー・アー・ユー日記。

夜見る夢の中で、夜じゃなくてもいいんだけれど眠っている間に見る夢の中で、「あっ、これは夢の中なんだ」と認識して、夢の中での行動を少し自由に制御できるようになったことをきっかけに、体に異変が起きるようになった。 いまが、ここが、夢の中だと認識…

消えかけた声と、ボトルいっぱいの蒸発した涙日記。

もう、何ヶ月になるのかなあ、毎日夕飯を作りながらビリー・アイリッシュばかり聴いている。そして歌っている。 厳密に言うと、時々マルーン5とかブルーノ・マーズとか、アデルとかサム・スミスとか聴いて、歌っているけどさ。なんだか断然ビリー・アイリッ…

名も知れぬ廃鉱山で笑う、クレイジークリスタル日記。

この数年で、ぼくはいろんなものを捨て去る準備ができたんだろうなあ、って、時々なんだかぼんやり思う。 置き去りにしてきた、たくさんの蔵書とか、一時狂ったように集めていたアメリカントイとか、あとはもっと大切なものも、まだ彼らは物質として、遥か遠…

醗酵する明日と、ネギとモラル日記。

あるWEBLOGに、納豆には長ネギじゃなくて玉ネギが好き、って書かれていた。 玉ネギにカラシ、それが好きだと。 それを読んで「はっ」と思い、生まれて初めて納豆に玉ネギのみじん切りを入れてみた。 その日までぼくは、納豆には長ネギしか入れたことがなかっ…

化石のように乾いた、ある朝の日記。

早朝の道端にカメが突っ伏していた。 小さいガメラみたいな姿で、たぶんイシガメの幼体だと思う。水辺からはかなり離れた場所だった。どこで生まれてどこに行こうとしていのかはわからないが、カラカラに乾いて歩を止めた状態で突っ伏しているその姿は、カメ…

モンキーモンキー、日記。

ふと、久しぶりにiPhoneの写真アルバムを開くと、iPhoneは勝手に、本当に勝手に、二年前とか五年前の写真で音楽付きアルバムなんかを作成していて、ぼくに見せつけてきた。 そんなことはわかってるよ、その頃はとんでもなく満たされていて、ぼくはパラダイス…

世界の片隅でBullshitと叫ぶ、カリフォルニア猫又日記。

少し前の日記に書いたこと。近所の公園に「猫に餌を与えるな」という主旨の張り紙がバリバリと張り巡らされた。 ただそこに少し気になることがあった。張り紙の見出しは、「猫さんに餌をあげないでくださいね。」みたいなものだった。 猫さん。 猫さん。なぜ…

WとH、それがきみの名前だったR日記。

眠っている間にみる夢とは、いったいなんなのだろう。 今朝方みた夢、夢のことは忘れがちだが唯一覚えていることがある。その夢を見ている最中、何故かこれだけは覚えておかなければと思い、必死で握りしめていたことがある。夢の中なので、その理由はよくわ…

スターシップ・トゥルーパーズっぽい、Duh、日記。

早めの夕食をはじめて、早めというのは夕方の五時頃からだが、『THE FLASH/フラッシュ』のシーズン4を観ながらの晩酌の最中、うっかり、そして豪快にグリーンカレーをぶちまけてしまった。 ちなみにグリーンカレーのお供は白飯ではなく、蕎麦。 ドラマの筋書…

23時20分の、罠日記。

日常的に文章を書かなくなって、二年ほど経つと思う。 あの日、いや、ある日と言おうか、心が粉々に弾け飛んで、砕け散って、いろんなことをやめてしまった。しばらくして、やめてしまったことを少しずつやりなおそうと思ってみたけれど、もとには戻らなかっ…

あまおと

「きみは、幽霊が・・・、怖いの?」 ぼくの顔を握りしめるように見つめる彼女の眼球は、小型の蜘蛛が部屋の隅っこに毎日毎日密かに張り巡らす糸みたいな、不規則な細い血管で覆われていた。 「えっ、いや・・・、幽霊が怖いわけじゃないよ、でも・・・、た…

ともだちがデモンズ、ほんとうはデモンズ、暗黒竜巻日記。

友だちっていったい誰なんだろう、何なんだろう。 今朝、明け方に夢から覚めて、ふとそう思った。 それまで見ていた夢の中に、古い友だちが出てきていたからだ。 夢に出てきたその友だちは、嘘つきで利己主義で、ほんとうに嫌なやつだった。そして、夢に出て…

深淵のガラクタと、新たなキャットアサシン日記。

この数ヶ月ほど、ずっと感じていたことを、少し言葉にしてみよう、というガラクタ日記。 そういうことが出来るのは、自分の中身が、中身の中身が、大いなる嵐に包まれている時だということ。「穏やかなときじゃないんだ?」と、疑問に、そして反対に思えるか…

シベリアの凍えるナイフ日記。

ヒステリア・シベリアナ 村上春樹の小説『国境の南、太陽の西』にそんな病気の名前が登場する。おそらくは架空の病名だと思う。 北方、辺境の農夫が、毎日毎日荒野を耕し続けた後に、ある日、ふと農具を捨て去って西に向かって歩き出し、そして歩き続けた挙…

アラビアではない場所で、どこでもない場所で死んだロレンスへの、短い日記。

WEBLOGを毎日書かなくなったあの日から、もう二年くらいは経ったのかな。そんなことすらも、よく覚えていない。 本当は数日前に、小さな怖い話を書こうとしていて、その種を大切に凍らせていたけれど、書けなかった。その種が芽吹くことは、いつかあるかもし…

甘く香るサイエンス・フィクション

「夢のない眠りがほしいの、いまは夢なんか見たくない、ただ眠りたいの。深く深く、真っ白く柔らかい泥土に沈みこんだいみたいに、わたしのまわりにはさ、なんにもなくなったみたいに、ただ眠りたいの。」 ホコリとかパン屑とか髪の毛にまみれた床がボツボツ…

サイハテ

「ねえ、」 10月に入っても、まだまだ夏の残照みたいなものが漂うある日、大きなおおきな嵐がゆっくりと走り去ったある日、その背後に柔らかい冷気をもたらした。 「ねえ、ハクトはさ、ありがとうって言わない人だよね。」 「えっ?」 リサが左と右の両掌で…

いつか彼方の、ギターレ交換(仮)日記。

ギターを練習していた頃があった。 まったくの独学で、何もわからないまま、ギターを練習していた。だだっ広い公園の誰もいない芝生の上に座って、何度も何度もワンフレーズだけを繰り返していた。 なぜギターを練習していたのかと言えば、あの時ぼくは、と…

みずうみ、日記

365日、そしてその次の150日くらい、湖ばかり見ていた。 湖は、透き通るような青だったり、沈みゆく緑だったり、焼けるようなオレンジだったり、陰鬱な灰色だったり、漆黒たる深い闇だったり。 結局あれは、水に映えた空の色じゃなくて、ぼくから滲み出した…

心正しき者の歩む道を阻むなかれ、ボンバーボマー日記。

やることがな〜んにもないので、ここしばらくずっと『ウォーキング・デッド』(The Walking Dead)ばかり観ている。 放送開始当時、シーズン2くらいまで観たのだけれど、途中で「オエッ」となって観るのをやめた。嗚咽したのはゾンビの腐肉が原因ではなく、…