ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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ニジマス男とお魚女の恋、ユシフ・アル・カリファ監督『スリーピング・ウィズ・ザ・フィッシュイズ(原題:SLEEPING WITH THE FISHES)』

誰かを好きになる切っ掛けとして、その人の顔の造形ってものが結構大きな要素になることは、当然のこととしてあると思う。

 

もちろん、見かけだけがすべてではないけれど、初対面でまず最初に飛び込んでくる相手の情報っていうのは、そのヴィジュアル的な要素、つまり姿形だからね。あるいは、視覚に頼ることのない生活を送っている人は、声や匂いというものが、それにあたるのかもしれないけれど。

 

さて、ぼくの場合も、やはりまず最初に相手の顔立ちに目が行きがちではあるが、人間の顔立ちというものは、一般的に言われるほど、例えば安易にイケメンだとかブスだとか、そういう短絡的なことで判断できるほど薄っぺらいものではないと思っている。

 

まあようは、すべてをひとつの価値基準に当てはめることなど出来ない。そこには大いにごく個人的な好みの問題が介在してくる。つまり好き嫌いである。

 

前述の、誰かを好きになる切っ掛け要素としての顔立ちで言えば、まあ“恋する”ところまでは行かなくても、この人好きだなあという思いを、こと異性に関して抱く場合の話に限定すると、異性ではなく恋愛対象としてでもよいのだけれど、ぼくは「爬虫類顔」の女性に結構弱い気がする。もうひとつ、これは割りとメジャーではあるかもしれないけれど、「猫顔」にも弱い。さらにレアなケースで言うと「蝙蝠顔」にも弱い。この最後の蝙蝠顔に関しては、ぼくがヴァンパイア愛好家だという心理状態に多少の影響をうけている気もする。

 

あっ、弱いっていうのは、苦手なんじゃなくて、好きだということだよ、念のため。

 

つまり、顔のヴィジュアルの好き嫌いの基準として、人間以外の生物にあてはめて判断している場合が、それが意識的にではないにせよ、意外とあると思うということ。ちなみに、嫌いなケースに関しては、「〇〇顔」という他の生物にあてはめた具体的な例で挙げるのが、ちょっと難しいなあといま思ったが、おそらく深く考えれば、あるいは瞬間的な出会いの場では、出てくるかもしれない。だって、人間以外の生物なんて星の数ほどいるからね。

 

前述の爬虫類顔という大きな括りの中にも、「蜥蜴顔」とか「蛙顔」とか「鰐顔」とか様々だし、考えだしたらキリがない。これね、じっくり考え出すと、たぶん他にも好きなタイプの顔って山ほど出て来る気がする。「蟷螂顔」って結構好きかもとか、あっ、「魚類顔」とか「鳥類顔」の筋は、割りと苦手かもとか・・・。

 

というわけで今回は、そんなフレイバーを持つ、短編のアニメーション作品を取り上げてみたい。

 

ユシフ・アル・カリファ(Yousif Al-Khalifa)監督による『スリーピング・ウィズ・ザ・フィッシュイズ(原題:Sleeping With The Fishes)』である。

 

Sleeping With The Fishes

imagesource: Sleeping With The Fishes on Vimeo

 

簡単なあらすじを述べると、魚を愛する孤独な女性の前に、ある日「虹鱒顔」の男性が現れて・・・、という物語である。

 

ちなみに本作品は、2014年の英国映画テレビ芸術アカデミー(British Academy of Film and Television Arts、BAFTA)において、最優秀英国短編アニメーション賞を受賞している。

 

以下にその授賞式の様子を取り上げておくので、興味のある方は、最後に取り上げる本編鑑賞後にでも、ご覧いただきたい。

 

 

というわけで、「魚類顔」好き、特に「虹鱒顔」好きの方は、ぜひにもご覧いただきたい。

 

なかなか素晴らしい作品であるよ。

 

 

 

 

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