絶対に“やってはいけない儀式”ホラー、トラビス・ザルーニー監督『ザ・ミッドナイト・マン(原題:THE MIDNIGHT MAN)』
世に蔓延る都市伝説の中には、俗に“やってはいけない”とか“やると必ず死ぬ”とか言われている儀式が多く存在するけれども、みなさんはそのひとつでもやってみたことがあるだろうか?
古いもので言えば例えば、「コックリさん」とか、「トイレの花子さん」とか、あの類も都市伝説的やってはいけない儀式と言えるだろう。
昨今に関してのこの手の儀式でぼくが知るものだと、「ひとりかくれんぼ」なるものがある。真夜中にぬいぐるみを使って儀式めいたかくれんぼ遊びをするというもので、インターネットなどにはその詳細なやり方が書かれているけれども、ぼくは怖いからやったことがない。ちなみに前述のコックリさんやトイレの花子さんも、怖いからやったことはない。
やったことがあるのは、ずい分前なので詳細は忘れてしまったが、掛けてはいけない電話番号というものに電話を掛けてみた、というものは経験がある。
話によればその番号に電話を掛けると、気の狂った老人が電話に出るということだったが、ぼくの場合には呼び出し音がずっとなり続けただけで、老人は電話には出なかった。呼び出し音は鳴っていたので、おそらく一応電話はどこかしらに掛かっていたようであるが、あとでよく考えたら、その電話を掛けたのは確かずいぶん真夜中だったし、もし仮にその電話番号が誰かの悪意によって流出しているひとり暮らしの普通の老人の家の電話番号だったら・・・、と想像した時に、別な意味での戦慄が走ったことを覚えている。ぼくがやっていたのは、やってはいけない儀式ではなく、やってはいけない単なるいたずら電話だった可能性が浮上してきたからである。
このように、やってはいけない儀式の中には、別な意味でやってはいけない要素を含むものもあるので、取扱いには十分注意が必要であろう。
他人に無駄な迷惑を掛けるのは、ぼくは嫌いである。
とまあそんなわけで、やってはいけない儀式に関してはほぼ未経験のぼくではあるが、今回はそんなやってはいけない儀式をモチーフとしたホラー作品を取り上げてみたい。
トラビス・ザルーニー(Travis Nicholas Zariwny)監督による『ザ・ミッドナイト・マン(原題:The Midnight Man)』である。
image source: The Midnight Man - International Trailer - 2017 Horror Movie HD - YouTube
本作品は、都市伝説的やってはいけない儀式ホラーの中でも、いわゆる怪人呼び出し系である。つまりホラー細分化ジャンルで言えば、やってはいけない儀式ホラーの中のさらに細分化である、「やってはいけない儀式(怪人召喚型)」ホラーということになる。
そしてすでに薄々お気付きの方もいるように、その怪人の名前は「ミッドナイト・マン」である。和風に言えば「真夜中男」とでも呼べるだろう。
昨今、やってはいけない儀式ホラー以外でも、都市伝説的怪人系のホラー映画は多い気がする。例えばステイシー・タイトル(Stacy Title)監督による『バイバイマン』(The Bye Bye Man)とか、スレンダーマンを扱った都市伝説ホラー、ジェームズ・モラン(James Moran)監督による『都市伝説:長身の怪人』(Always Watching: A Marble Hornets Story)とか、他にも結構ある。
さて、本作品において、このミッドナイト・マンを呼び出すための儀式は「ミッドナイト・ゲーム」(Midnight Game)と呼ばれるもののようで、これは異教の宗教において主にその戒律を破ったものに課せられる罰として存在する儀式だとのことである。異教と言っても幅が広いので、まあキリスト教から見ての異教だということはわかるが、それがいったいどんな宗教かは不明である。もしかしたら本編ではその詳細が判明するのかもしれない。
また本作品は、ロブ・ケネディ(Rob Kennedy)監督によるほぼ同名のアイルランド映画『ミッドナイト・マン(原題:Midnight Man)』のリメイクだとのこと。
さらに前述の儀式としての「ミッドナイト・ゲーム」をテーマに扱ったホラー作品、A・D・カルヴォ監督による『ザ・ミッドナイト・ゲーム(原題:The Midnight Game)』という作品もあるようで、どちらも2013年に公開されている作品のようだが、こちらは直接的なリメイク云々には関係していないようである。
ではまず、せっかくなので、リメイク元ではないけれどちょっと関係がありそうな『ザ・ミッドナイト・ゲーム』の予告編映像を御覧いただきたい。たぶん扱っている儀式自体は同じだと思う。
話を戻して、本作品で注目したいのはそのキャストであり、『エルム街の悪夢』(A Nightmare on Elm Street)シリーズのフレディ役でおなじみロバート・イングランド(Robert Barton Englund)、そして『インシディアス』(Insidious)シリーズのリン・シェイ(Lin Shaye)が出演している。
というわけで、本作品のインターナショナル版予告編が公開されているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい!
ただその前に、この「ミッドナイト・ゲーム」をやってみたい方のために、簡単なやり方を説明しておこう。「そんな儀式やらねえし。」という方は、すっ飛ばして最後の予告編映像をお楽しみいただきたいが、読んだらやりたくなると思うので、ぜひ読んでいただきたい。
【サルでもわかる「ミッドナイト・ゲーム」の遊び方】
・前提条件
本儀式である「ミッドナイト・ゲーム」の開始時刻は正確に午前12時でなければならない。
・用意するもの
ろうそく、紙、筆記具、マッチかライター、塩(天然塩推奨)、木製の扉、少なくとも一滴以上の自分の血液。
※「ミッドナイト・ゲーム」を複数人でプレイする場合には、前述のアイテムをそれぞれが準備する必要があり、それぞれが以下の手順を実行する必要がある。
★さあ、それでは始めましょう!
・ステップ1
あなたのフルネーム(漢字や平仮名でもよいが、アルファベットのほうがより有効、ファーストネーム・ミドルネーム・ラストネーム)を紙に書き、少なくとも一滴以上の自分の血液を名前を書いた紙に染み込ませる。
・ステップ2
部屋の中(家の中)のすべての明かりを消し、あなたの名前を書いた紙を木製のドアの前の床に置き、その上に火を灯したロウソクを置く。
・ステップ3
木製のドアを22回ノックする。この時最後の22回目のノックが午前12時ちょうどでなければならない。その後、木製のドアを開いてロウソクの火を吹き消してから、再びドアを閉める。
これであなたは、ミッドナイト・マンを部屋に招き入れたことになる。
※ドアが必ずしも木製である必要はないが、木製であるほうがより有効である。またこのドアは家の中にある個別の部屋のドアでもよいが、家の玄関のドアであることもより有効な要素となる。
・ステップ4
間を置かずに、すぐにロウソクに再び火を灯す。
ここからが「ミッドナイト・ゲーム」のスタートとなる。
★「ミッドナイト・ゲーム」のルール
あなたは完全に明かりを消した家の中を、手に持ったロウソクの灯りを頼りに歩き回り、ミッドナイト・マンから姿を隠し続けなければならない。
制限時間は3時間33分後の、午前3時33分。
この間、もしロウソクが突然消えるようなことがあれば、それはミッドナイト・マンがあなたの非常に近くにいることを意味している。この場合は、10秒以内にロウソクに再び火を灯さなければならない。
ロウソクの再点火に成功した場合にはゲームは続行される。あなたは目標の時間までミッドナイト・ゲームを続行することが出来る。
もし10秒以内にロウソクにうまく火が灯せなかった場合は、すぐに自分の体の周りに円を描くように塩をまかなければならない。
塩をまくことに成功した場合にもゲームは続行されるが、あなたは目標の時間までその塩の円の中に留まり、絶対に動いてはいけない。
そのどちらにも失敗してしまった場合、あるいは塩の円の中から出てしまった場合には、あなたはゲームオーバーとなり、姿を現したミッドナイト・マンに臓器をひとつひとつ引き千切られることになる。その激しい痛みは感じるが、あなたに出来ることは何もない。
このミッドナイト・ゲームの完璧な勝利条件としては、ミッドナイト・マンの攻撃を受けずに、塩の円の中にも閉じ込められずに、午前3時33分までミッドナイト・マンから逃げ切ることである。
目標時間を過ぎるとミッドナイト・マンは家から出てゆき、あなたは安全な朝を迎えることが出来る。
・追記事項
こんな場合にはミッドナイト・マンがあなたの近くにいる。
・周囲の気温、あるいは体温が急激に低下する
・周囲が完全な闇に包まれる
・闇の中を人影のようなものが横切る
・どこからともなく柔らかなささやき声が聞こえる
これらのことを感じた場合には、すぐに別の場所に移動することをオススメする。
・ミッドナイト・ゲーム中の禁止事項
・部屋の中(家の中)の明かりをつけてはいけない
・懐中電灯を使ってはいけない
・ミッドナイト・ゲーム中に眠ってはいけない
・あなたの名前を書いた紙に他人の血液を使用してはいけない
・ロウソクの代わりにライターを使用してはいけない
・そして絶対に、故意にミッドナイト・マンを挑発したり刺激したりしてはいけない、どんなことがあっても。
・最後に
ゲームに勝利することでどんなメリットがあるのかは、ぜひあなた自身で確かめていただきたい。
では、ぜひ今晩は、家族みんなで和気藹々と、ミッドナイト・ゲームをお楽しみくださいませ。
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