ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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11月1日だって『ハロウィン』は続いている、10月31日以外のマイケル・マイヤーズを描いた短編作品『ノーベンバー・ファースト(原題:NOVEMBER 1ST)』

2017年10月31日のハロウィンが幕を閉じてから、もう二日も経過している。

 

そろそろ来年の2018年10月31日に恋い焦がれて、あるいは待ち遠しくて、大いに涙を流している紳士淑女で街が溢れかえる時期であろう。

 

民間行事あるいは民俗信仰などというものは、元を掘り返せば誰かが勝手に始めたことに端を発する場合が山ほどある。日本においても流行り神などというものがあり、例えば200年前の今日11月2日に、とある農家の近所を流れる川から不気味な石像が発見されて、これは何かの禍か凶歳の知らせだと思い立った農家の主が、独断でその不気味な石像の呪いを鎮めるためだと称して、川の傍に祠を建てて石像を祀ったという出来事があるとする。その石像の話は次第に近隣の家々に伝わり、いずれその石像が川から発見された11月2日に村全体で祭りを執り行うようになる。それが時代を経て、全国に伝播し、多くの人が知る民間行事のようなものに成り果てる。

 

例えばその不気味な石像が、顔は鬼で体が熊のような風貌をしていると思った第一発見者の農家の主が、それをオニグマサマだといい出したとして、もしそれが今日に至るまでに全国的な伝播を遂げていたとしたら、本日11月2日は、「今日はオニグマサマだね!」ということになる可能性もある。

 

オニグマサマの日の夕暮れに、鬼とか熊の扮装をして誰かの影を踏みながら升に入った日本酒を一気飲みすると、影を踏んだ相手の厄落としが出来る、などという行事が全国に浸透しているかもしれない。そうなれば11月2日の夕暮れは毎年、鬼熊ヘベレケ影踏み祭りと化す。おそらくそれはカオス的な真の逢魔が時になるであろう。

 

そういった流行り神の多くは突発的に発生して、熱が冷めると自然消滅するケースが多いが、中には残留して広がり続け、今日誰もが知る全国的な行事となっていることもあるだろう。ただ、長い年月を経たそういった行事の多くを、人々はその根源の意味を知らずに扱うものだから、年々その姿は変貌を遂げ、まったく違ったものへと姿を変えてしまう。

 

つまりハロウィンという異国のイベントもしかりである。

 

だからもしハロウィンのようなイベントが日本にも欲しければ(まあ実はいっぱいあるんだけれどね)、異国のものを拝借するのではなく、勝手に自分たちで作り出せばいいのである。そして最初は自分一人だけでもいいから毎年毎年、あるいは毎月毎月やり続け、自分が満足すればいいのである。まあ方向性を間違えるとカルト集団的な変貌を遂げてしまうこともあるだろうが・・・、ネタが禍々しくてもポジティブでキャッチーな行事であれば、いずれ、10年か50年か、あるいは100年後に全国的な伝播を遂げるかもしれない。

 

うっかりしていたら、話があらぬ方向に進んでいたので、やや軌道修正をするが、例えばハロウィン的なものを毎日のイベントにしたいと自分が思うのなら、出来ないことはない。前述の流れから言えば、自分で作ればいいし、やればいいだけのこと。朝晩仏壇に線香をあげるて手を合わせるという行為だって、同じようなものであろう。

 

昨今では仏壇に手を合わせるのは盆と正月だけという人も多いかもしれないが、もしその手を合わせるという行為に何らかの意味合いと相手があるなら、その手を合わせる対象は、ご先祖様なり、死んだ恋人かも知れないが、手を合わせるその時その刹那だけにそこに相手が存在するのではなく、その手を合わせるという行為がたとえ一年に一度だけだとしても、行為が続けられている間は、常にどこかしらにその対象は存在すると考えなければならないだろう。

 

節分に家から追い払われた鬼は一年中どこかを彷徨いていて再びこっそり家に忍び込んでくるし、お盆に迎え入れる先祖の霊たちも現住所が遠い近いは別として一年中どこかで何かをして暮らしていると考えなければ、その行事が継続的に行われている内は意味が成り立たないし、たとえ行事が廃れ変貌を遂げたとしても、その残留的な力の源は世界を漂い続けるのではないだろうか。

 

つまり、今回の本題に入るために話をブッ飛ばすと、ハロウィンの日に脚光を浴びるマイケル・マイヤーズは、ハロウィンの日だけ刹那的に瞬間発生するのではなく、鬼や先祖の霊と同様に一年中、365日、どこかで営みを続けているのである。

 

というわけで、今回取り上げるのは、その民俗儀礼の裏側的な、ハロウィン以外の日のマイケル・マイヤーズを描いた短編作品である。

 

エリック・マイラ(Eric Maira)、クリス・ホーガン・ロイ(Chris Hogan-Roy)、ベンジャミン・スクリーベンズ(Benjamin Scrivens)、クリス・タンスキ(Chris Tanski)の共同制作による『ノーベンバー・ファースト(原題:November 1st)』である。

 

 

タイトルの意味は言うまでもないが、10月31日が明けての11月1日ということ、これはおそらく『13日の金曜日』(Friday The 13th)のタイトルを捩ったものであろう。

 

 

10月31日のマイケル・マイヤーズと同じように、13日の金曜日のジェイソン・ボーヒーズもまた一年中、あくせく、あるいは穏やかに営みを続けているよ、ということを示唆する裏タイトリングかもしれない。

 

内容的なことは本編を観ていただきたいが、話の流れの通り、11月1日のマイケルの日常を描いた物語である。

 

劇中で、役名としてはThe Shapeとなっているマイケルを演じているのは、制作者のひとりであるベンジャミン・スクリーベンズ、そしてマイケル以外で唯一の登場人物であるバリスタ役として、なんと本家『ハロウィン』(Halloween)のリンダ役でお馴染みのP・J・ソールズ(P. J. Soles)が出演している。

 

そういえば彼女は、先日鑑賞したばかりのロブ・ゾンビ(Rob Zombie)監督による『デビルズ・リジェクト マーダー・ライド・ショー2』(The Devil's Rejects)にも出演していた。ちなみに同作品には、ケン・フォリー(Ken foree)やマイケル・ベリーマン(Michael Berryman)などホラー界のカルトが多く出演している。

 

 

マーダー・ライド・ショー2 デビルズ・リジェクト [DVD]

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ハロウィン BD [Blu-ray]

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というわけで、興味のある方はぜひ、過ぎ去りしハロウィンの余韻を楽しみつつ本編を御覧いただきたい。ハロウィンが一日にしてならずだということが、うっすら理解できるかもしれない。

 

ちなみに本作品には、本家『ハロウィン』愛好家がニヤリとしてしまう細かな演出も多数含まれているよ。

 

 

 

 

ムービーマニアックス2 ハロウィン マイケルマイヤーズ

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月白貉 - Mujina Tsukishiro