ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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孤独な怪物は友だちが欲しいだけ・・・、ジェイコブ・チェイス監督による短編ホラー『ラリー(原題:Larry)』

 「孤独が好きな人間なんていないさ。無理に友だちを作らないだけだよ。そんなことをしたってがっかりするだけだもの」

 

これは、とある有名な小説の中に出てくる主人公の言葉である。

 

知っている人は知っているだろうし、知らない人は知らないだろう、あたり前のことだけれど。

 

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ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

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ちなみに同小説は実写映画化されていて、映画の中でもこの台詞はほぼそのまま使われている。映画版の監督を務めているのは、『青いパパイヤの香り』(Mùi đu đủ xanh、L'odeur de la papaye verte、The Scent of Green Papaya)や『夏至』(Mùa hè chiều thẳng đứng、À la verticale de l'été、The Vertical Ray of the Sun)で知られるトラン・アン・ユン(チャン・アィン・フン、Trần Anh Hùng)、原作を愛好する人々の同実写化作品に対する評価は賛否両論あったようだが、ぼく個人的には中間値くらいであろうか。

 

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原作への忠実性を求めるならば難はあるだろうけれど、純粋に映画単体として捉えればなかなか良い作品だと思うということである。そして原作に多少の思い入れがあるぼくはもちろん劇場に鑑賞しに行ったのだが、劇場公開版よりもディレクターズカット版のほうが圧倒的によかったとだけ言っておこう。

 

 

さて、ぼくの今までの人生を振り返ってみると、比較的という意味では、かなり孤独に埋もれた生活を送ってきているような気がする。

 

「友だちは誰もいませ〜ん!」と、夕暮れの海に向かって笑顔で叫べるくらいのレベルで、孤独だと思う。

 

ただ前述の言葉のように、特別に孤独を好んでいるわけではないが、以下同文のごとく、無理した時のがっかり度に打ちのめされるのが嫌なのである。

 

しかし、長い時間の孤独というものは、自覚があるなしを関係なくしてその人の身を確実に蝕んでゆくと思う。これはある程度の実体験に基づく考えであり、つまりぼくは孤独に蝕まれて不気味な姿に変形している可能性があるのだ。そしてそういう人に限って自分の不気味な姿に気が付いていない場合がある。

 

話の流れから行くと、ぼくも当然そういう自分の不気味な姿に気付いていない孤独怪物のひとり(一匹)に該当するかもしれない。

 

「知らぬは亭主ばかりなり」というわけである。「亭主元気で留守がいい」とは若干違う。

 

というわけで、これ以上余談を続けると迷子になるので本題に戻ろう。

 

今回取り上げるのは、いろいろな意味で孤独をテーマにした短編のホラー作品、ジェイコブ・チェイス(Jacob Chase)監督による『ラリー(原題:Larry)』である。

 

Larry - A Short Horror Film

image source: Larry - A Short Horror Film on Vimeo

 

物語は、深夜の駐車場でひとり係員を担っている男の話である。この時点で、ある意味ではずいぶん孤独な状況である。

 

この係員役の男を、ジョー・カラーコ(Joe Calarco)が演じている。

 

本編にゆく前にちょっとだけ余談をはさもう。

 

ぼくは深夜の駐車場の係員をやったことはないが、学生の頃、個人経営のカラオケボックスで深夜に店番をしていた時に、おそろしい体験をしたことがある。興味のある方は以下の記事をお読みいただきたい。ちなみに以下の体験談は途中で終わるが、「階段の怪談」というキーワードで当ウェブログ内を探せば、ある程度の続きまでは探すことが出来るに違いにない、たぶん。

 

関連記事午前0時なので、誰も読まないであろう、本当は怖い普通の階段の怪談。

 

というわけで話を戻して、『ラリー』の本編をどうぞ。

 

 

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