恐怖の宮廷道化師にご用心!コリン・クロウチク監督『ザ・ジェスター(原題:THE JESTER)』
現在2017年8月12日、世間では明日13日から「お盆」期間に突入する。
このお盆の時期は地域によって様々であるが、ぼくの田舎では8月13日から8月16日までの期間をお盆と呼んでいた。
お盆というと、先祖の霊を家に招き入れて接待するというのが一般的な認識かと思う。ぼくの実家でも毎年、お盆になると提灯を持って墓場に先祖の霊を迎えにゆくという儀式を行っている。
「おれの墓の前で泣くな、おれはそこにはいねえ!眠ってなんかいねえ!」という歌詞の歌があるくらいなので、果たして墓場に常時先祖の霊がいるのかどうかは定かではない。お盆時期の待ち合わせ場所が、六本木のアマンド前ばりに墓場の墓石の前なのかもしれない。
地域によっては先祖の霊は海の向こうの異界から帰ってくるというケースもある。その為、お盆の時期に海で泳ぐと、場合によっては海に引き込まれて異界に連れて行かれることがあるので危険だという話もある。
さらに、お盆に海の向こうから湧き出てくるのは人間の霊だけではないのである。その人間の霊を喰らう目的で、様々な化け物たちも湧いて出てくる。
お盆時期に海で泳いではいけないという習わしは、クラゲのせいではなく異界の化物が蠢いているからだと言われている。
そう考えると、お盆というのは西洋で言うところのハロウィン的な趣も感じさせる。腹をすかせた化け物たちがこぞってやって来る時期なのである。
というわけで、やはりお盆の時期には恐い話が付き物だということで、性懲りもなくホラーな短編作品を取り上げたいと思う。
そしてお盆にはまったく関係ないのだが、今回取り上げる作品はぼくの大好きな“道化師”モノ、コリン・クロウチク監督による『ザ・ジェスター(原題:The Jester)』という作品である。
@ryan_connolly Happy Halloween Ryan! Tried our hand at some more seasonal horror, would love to hear your thoughts. https://t.co/zdpuCQiG9f pic.twitter.com/DITyNhX7Qp
— MakeDo Entertainment (@MakeDoEntertain) 2016年10月29日
物語の舞台となっているのは、ハロウィンの日の夜。お盆がハロウィン的だという話の流れからすると、まったく見当違いな作品ではないかも知れないとだけ、無理矢理にこじつけておこう。
さて、タイトルにある「ジェスター」とは、宮廷道化師のことである。
宮廷道化師とは簡単に言うと、中世ヨーロッパあるいはテューダー朝時代に、支配者層によって雇われていた道化師の名称である。このジェスターは、サーカスにおけるクラウンやピエロとは違い、単なるエンターテイナーを超えた役割を担っていたとも言われれている。つまり唯一君主に意見を述べることが許されていたとか、国政を担う存在だったとも言われているのである。
本作品にはタイトル通り、そのジェスターが登場するのだが、物語の詳細に関しては本編でお楽しみいただきたい。ただちょっと気になるのは、この作品における道化師を、あえてクラウンではなくジェスターとした意味合いは?という部分である。
そのあたりも含めて考察してみると、より深みが増すかもしれない。
というわけで、「幽霊もいいけど道化師もね!」という、「おせちもいいけどカレーもね!」的な趣向で、お盆をお過ごしいただきたい。
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