いつか訪れる、夢見る日記。
午前、あるひとつの映画に感動し、同時に自分を責め、いままでの人生を悔いた。
午後、ゴーストタウンのような山の上の街を歩き、山の下の街を見下ろし、何かを思い出しつつも何かを見失い、悲しくて泣きそうになった。
久しぶりに、誰かの真面目な質問に対して、嘘にまみれた返答をした。
帰り道で歩くスピードが徐々に落ち込み、見知らぬ犬に抜かされた。
犬は息を切らして歩いていた。
家に帰ってきてありったけのスピードで夕飯の支度をした。
大根と人参のサラダ、ナスのマリネ、トマトとアボカドのサラダ。
サラダを二品作れた日はおおよそ完璧な日だが、完璧な日が素晴らしいとは限らない。
あとはもう、ワインを飲むだけで、この悲しい一日が終わる。
時々、生きていることが嫌になる。
けれど時々、生きていることを素晴らしく思う。
そのどちらでもない時間を、ぼくは今まで費やしすぎたのかもしれない。
誰かに正直に何かを打ち明けて、泣き崩れたい日もある。
誰かに心を開け広げて、湖ほどのワインを飲み明かしたい夜もある。
いつかそんな日が、ほんとうに訪れるだろうか。
いつかそんな、夢のような日が。
月白貉