ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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深夜のカメムシ・イーターと、ブラック・サンデー日記。

昨日の真夜中か、今日の明け方かは定かではないが、寝室の隣の部屋の窓が開閉したような音で目を覚ました。

 

その窓が開閉した音は二度聞こえてきた。

 

一度目に音で目を覚ました際は、寝ぼけているのか何かの聞き間違えかと思って再び目を閉じて眠ろうとすると、程なくしてまた同じ音が聞こえてきた。

 

まさか誰かが外から家の中に入って来たのではないのかという恐怖が頭をよぎり、布団から起き上がって窓を見にゆくが、窓の鍵は閉まっていて開いたような様子はない。

 

あれは一体何の音だったのかなあと、モヤモヤとした恐怖感が頭の上を漂いながらも布団に潜り込み、しばらくして眠りに落ちてしまう。

 

朝起きてみて、昨日の夜の音のことが気になって再度窓を確認しにゆくと、やはり鍵は閉まっており開いたような様子はなかったのだが、ひとつだけ気になることがあった。

 

一週間ほど前に、なかなか巨大なカメムシがその窓と網戸の間に侵入してきており、普通サイズのカメムシであれば、まあガムテープなどに引っ付けて駆除するのだが、やけに大きな種類だったので直接的な駆除が躊躇され、殺虫スプレーをこれでもかと噴射して殺してしまった。しかし、そのカメムシは網戸にしがみついた状態のまま死んでしまい、なんだかちょっとその趣が恐ろしくて、いつか片付けようとは思いつつもしばらくそのまま放置してあった。昨日の夕方にも確認したのだが、まだそのままだった。

 

しかし、今朝起きて窓を開けてみると、網戸にしがみ付いていた巨大なカメムシの死体が忽然と姿を消していたのである。

 

かなり時間を掛けて周囲を探してみたのだが、窓と網戸の間にはどこにも見当たらない。網戸の内側にしがみついていたので、もし脚がはがれて落ちたとしても、その内側に死体はあるはずなのだが、どこにもない。考えられる可能性として、どんな状況でかわからないが網戸の外側に落ちてしまったのかとも思い外も探してみたのだが、カメムシの死体はまったく見つからなかった。

 

昨夜の窓が開いたような音と、カメムシの死体が姿を消したことになにか関連性があるのかどうかはまったくわからない。けれど一日中、何かゾッとするような感じが、ずっと背中におぶさっている。

 

すなわち、今日は普段に比べると、ずいぶんと暗い日曜日なのである。

 

そしてその恐怖を背負投でふっ飛ばすためにこの文章を書いている。窓の音とカメムシの消失を関連付ける仮説をあげれば、恐怖が消え去るかもしれない。

 

例えば、昨日の真夜中か明け方、まだ日が昇らぬ暗闇の中、家の窓の網戸だけを開けた誰かがいるのかもしれない。おそらくその誰かは家宅侵入が目的なのではなく、真夜中に家々の網戸にしがみついているカメムシを採取するために町を徘徊しているのだと思う。そして採取の目的は、食べるためである。

 

その誰かが人間かどうかはわからない。

 

窓の音が二度鳴ったことに関して、その誰かはぼくの家の網戸にしがみついてるカメムシを発見して網戸を開けて採取しようとしたが、開けた際にそれが死んでいることに気が付き、カメムシは採取せずに一度網戸を閉めてしまう。しかしすぐにその誰かは思い返す。

 

「死んでいても、食べよう。」

 

誰かはもう一度網戸を開けそこにしがみついたまま死んでいるカメムシを剥ぎ取り網戸を閉めて、去っていったのである。

 

こんなことを考えていたら余計に恐ろしくなったので、今日はもう酒を飲んで歌でも歌って寝てしまおう。

 

そういえばね、昨日の夜、布団に入る前に、外から「鬼は〜外っ!」という女性の絶叫が聞こえてきてゾッとしたんだよね。それもどうやら、この一連の窓の音とかカメムシの死体の消失と、何ら関係があるように思われてならない、そんな暗い日曜日の話である。

 

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月白貉