ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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空が青い日の幽霊と、稲荷神社の醍醐味ワンダーランド日記。

昨夜カレーを食べてやや心を取り戻したぼくは、きょう、ずいぶん久しぶりに山に登った。

 

朝から気持ちのよい真っ青な空が広がり、豪胆な夏の雲が右往左往し、透明な風がビュウビュウと歌っているので、外出しないわけにはいかなかった。

 

「ぼくが自ら命を絶った理由は、その日の空が信じられないくらいに青かったからだよ。」と言ったのは、今は亡き小学校時代の友だちの幽霊である。

 

まあそれはさておき、山と言ってもたかだが170mほどの山で、登山口から登って別の登山口まで降りてくるのに二時間弱というほどだったろうか。しかし多くの人が登る山ではないようで、登山道は真夏ということもありもっさりと草が生い茂っており、様々な虫が飛び交い、なかなか楽しく苦戦するひと時であった。

 

登山道入口付近には古い時代の巨石遺構的崇拝物が建っていたり、山頂はかつての山城の跡だったり、見たことのないキノコがたくさん生えていたりと、個人的には十分満足のゆくものだったが、結局途中で道を間違えて正規のルートを外れてしまい、最終的には大いなる藪漕ぎ、蝉やら蜂やら蛾やらが何匹も顔にぶち当たってきたり、最後の難関的草むらでは女郎蜘蛛の巨大な巣を顔に浴びてしまったりした。

 

それでもまあ、なんとか民家の裏庭のような場所に到着する。

 

本当は今日、山に登るつもりはなく、とある神社の近くにある滝を目的地にしていたのだが、その滝の流れ出ている山が目の前に立ちはだかったので、せっかくなので登ってみたというだけのことである。

 

そういう無計画な山歩きも楽しいものである。

 

登山道以外の歩行距離は約20キロ、登山道は一部ロープが設けてあるような急なものだったので、トータルとしてはなかなかの運動量であろう。

 

その後、目的地としてたどり着いた滝は小さなものだったが、その水が湧き出る山を登ったせいもあるのかずいぶん達成感はあった。しかしその滝も、ほとんど人が訪れなくなっているようで、滝に隣接する茶屋のような飲食店は廃墟と化していた。

 

滝の水は冷たく、口に含むと爽やかな味が舌の上に広がった。ぼくはその水で顔を洗い、水で冷やしたタオルで火照った体の汗を拭った。

 

滝の脇にはずいぶん古い看板が朽ち果て倒れていて、そこには滝の歴史が綴られていた。干魃の際にも枯れること無く滔々と流れ続けたその滝の水は、一時は酒造りにも使われていたと書かれていた。であれば十分飲める水質なのだろうとは思ったし、その時ありえないほど喉が渇いていたのだが、少し考えてから口に含んで濯ぐだけに留めておいた。

 

もしかしたらその山には山爺と化したジジイが住んでいて、そのジジイが滝の水に幻覚性の毒を盛っているかもしれないと想像してしまったからである。

 

きょう歩行中に摂取した水分は約1.5リットル、体から流れ出た汗を考えれば少ないくらいであろう。

 

滝からの帰り、見知らぬ街角で神社を見かけたので、最後の力を振り絞って覗いてみた。

 

その神社の一角には不思議な名前の稲荷神社が祀ってあり、稲荷神社愛好家のぼくの血がザーザーと騒いだ。

 

稲荷神社の醍醐味は、社の裏側である。

 

それはもちろん、オタガイサマが祀ってある可能性ということもあるが、それとは別に、良い稲荷神社の裏側は、眷属であるキツネたちのワンダーランドになっている場合がある。

 

今日見つけた稲荷神社は当たりの稲荷神社で、なかなか良い具合のワンダーランド感を醸し出していた。

 

カレーからのプチ登山からの、眷属ワンダーランドで、心もずいぶん癒やされた。ちなみにその稲荷神社には、レアなオタガイサマもいたのだよ!

 

では最後に、今日撮影したワンダーランド写真で、お開きとさせていただこう。

 

きょうは麦酒がうめえだろうなあ。

 

空が青い日の幽霊と、稲荷神社の醍醐味ワンダーランド日記。

 

そしてこれが稲荷神社の裏にあるオタガイサマの穴だ!手前に髪の毛的なものもあるでしょ。

 

空が青い日の幽霊と、稲荷神社の醍醐味ワンダーランド日記。

 

 

 

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月白貉