ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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はてなブログ継続日数、365日に思うこと。

はてなブログウェブログを書き始めてから二年と少しが経過し、現在の投稿数は1154記事、ブログを書いた日数は690日、そして気が付けば継続日数が374日になっていた。

 

つまりこの一年以上、毎日性懲りもなくウェブログを書き続けているということになる。

 

ウェブログをはじめた当初に比べればアクセス数も多少は増えたが、なにぶん自由気ままな駄文三昧、大いに文字を書き散らかしているが如きなので、アクセス数はジェットコースターばりの上下変動を見せつつ、回転したりして重力がかかり、次第に速度を落として再び落下し、なんだったらそのうち月間のアクセス数が30にも満たないあの懐かしき日々に回帰してゆく可能性だってある。しかしもしそうなるのでれば、それもまた一興であろう。

 

ウェブログの価値はアクセス数などではない。その文章の中に独自の小宇宙が如何に存在するかということこそが、本来の価値である。

 

そういった意味合いにおいては、ぼくのウェブログはある程度の価値あるウェブログだと言える。なぜなら自分自身がある程度満足している、ある程度の自己満足ウェブログだからである。

 

こういうタイトルがいいとか、こういう文章構成が正解だとか、万人が求める内容だとか、Google先生に褒められるとか、そういうことはまったくどうでもよくなっている。

 

まあ時々、読んでくださっている方々を意識して文章を書く気遣いも一応はしているので、もしこのウェブログを気に入って読んでいただけるということは、喜ばしいことではあるけれど。

 

とまあ、継続日数が一年365日を超えたので、それに因んだ内容を綴ろうと思い、先ほど洗濯物を干しながら色々と考えていたら、無意識の内に水前寺清子の『三百六十五歩のマーチ』を口ずさんでいた。そしてその時、口から吐き出した歌詞に驚愕の事実を知ることとなる。

 

「一日一歩 三日で三歩 三歩進んで 二歩下がる」

 

これをウェブログ継続に擬えるなら、一日一記事書いて三日書き続けたら、三日間書き続けた記事の内二つを削除するということになり、たとえそのやり方で一年間ウェブログを書き続けても、継続日数は永遠に一日という結果になるのである。

 

テオ・アンゲロプロス(Theo Angelopoulos)監督の『永遠と一日』(Μιά αιωνιότητα και μιά μέρα、Eternity and a Day)が頭をよぎる。

 

つまり人生において、ウェブログの継続日数などという数は無意味であり、継続日数表示が365日を超えたことに少なからず何かの満足感を得ていた自分に失望し、干していた洗濯物を近所の沼にぶち込んでびしょ濡れのヘドロだらけに戻し、それを小脇に抱えて今帰宅したばかりである。

 

そして清子の歌の最後にはこうも語られている。

 

「千里の道も 一歩から はじまることを 信じよう」

 

これはもちろん、一日一歩を歩いたところで千里の道には到底及ばないが、さらには三歩進んで二歩下がるので三日で一歩しか進まないのだが、でも念のため信じておけ、という内容である。千里とは現実的には約4000キロ、それが転じてはるか遠くを意味する言葉であるが、まあ具体的に4000キロとして、人間の一歩を仮に60センチとすると、一日一歩歩いても18265年かかることになり、三歩進んで二歩下がる歩法においては三日で一歩であるからその三倍、54795年かかることになる。五体投地聖地巡礼どころの騒ぎではない。

 

今思いついた適当な計算なので合っているかどうかは定かではないが、話を先に進めよう。

 

例えば今から5万年前といえば、クロマニョン人が歩いていた時代だと言われている。つまりクロマニョン人がこの歌のチータ歩法に則り歩き続けていてもまだ、千里到達の偉業を成し遂げられずに歩き続けているということになる。だからもしこの現代、渋谷のスクランブル交差点を怪しげな類人猿が歩いていたら、それはかつて5万年前にチータ歩法を信じて歩き出したクロマニョン人の可能性が浮上してくるわけである。

 

清子の『三百六十五歩のマーチ』は、あるいはそんなクロマニョン人賛歌という壮大な裏テーマを秘めているのかもしれない。

 

24時間テレビも、もし本気でやるなら「チータ歩法で4000キロ」というくらいのものを企画として打ち立てるべきである。24時間で成し遂げられる瞬間的なマラソンなどでは、混迷を極める現在の世界を到底救えるはずなどない。

 

というわけで、ウェブログ継続日数を表示するならせめて一年単位にして、さらにはその継続表示のひとつの目標として満足に値するのは5万年だという話に着地する。

 

つまり人生とは、モハメド・アリか、あるいはマイク・タイソンにワン・ツー・パンチを喰らって昇天する最中に見る短いけれど永劫の夢のごとしだと、清子は歌っているわけである。

 

自分の足跡にたまった血の中から、クロマニョン草が生えて花を咲かすその日まで。

 

ソレ ワン・ツー ワン・ツー。

 

はてなブログ継続日数、365日に思うこと。

 

 

 

永遠と一日 Blu-ray

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三百六十五歩のマーチ/真実一路のマーチ/ウォーキングマーチ

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月白貉