ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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人喰い子猫に襲われたけれど、白い子ヤギが助けに来た夕暮れ下山日記。

山中から下山している夕暮れ時、歩いている山道の途中に廃屋があって、おそらくその近隣に住む人々だと思われる身なりをした家族らしき三人の人間が、色の違う三匹の子猫に襲われて喰われているという光景に出くわした。

 

一匹は白猫で、一匹は黒猫で、もう一匹は黒と茶色の斑だった。

 

喰われているのは父親と母親と娘のようで、まだ生きているけれど三割ほど喰われていて、それぞれにうめき声をあげている。もうひとり叫びながら逃げてゆく男性の後ろ姿が見えたが、喰われている家族との関係は不明だった。

 

あっけにとられてその光景に目を奪われていると、子猫たちは急に食べるのをやめてぼくの方に振り返り、軽快な足取りでニャンニャン鳴きながら近付いてきた。

 

ぼくが「あっ、襲いに来る気だ!」と思った時には、子猫たちはもうすぐ足元まで迫ってきていた。

 

すると、廃屋の脇にある神社らしき場所の石段の上から、トントンと足音を立てながらまだ生まれたばかりほどの大きさの真っ白な子ヤギがこちらに向けて降りてくるのが見えた。ぼくと同じようにサッと子ヤギに目を向けた子猫たちは、子ヤギに大いに怯えだして、ぼくからサササッと遠ざかってゆき、草むらに姿を消してしまった。

 

子ヤギは石段を下り終えるとぼくのところまでヨロヨロとゆっくり歩いてきて、ぼくの周囲をクルクルと回りだし、ぼくが歩くとなぜかずっとぼくの後ろをついてくる。

 

また子猫たちに襲われたらいけないと思い再び下山をはじめるのだが、子ヤギはずっとぼくの背後をピョンピョン飛び跳ねながらついてくる。

 

けれど、子ヤギが側にいれば子猫たちが襲ってくることはないのだろうと少し安心していると、急に背後の草むらからぼくに向けられた鋭い視線だか殺気だかのようなものを感じた。振り返ると、薄暗い草むらの中に先ほどの子猫たちと、その横に顔が腐ったみたいに崩れた老人がいて、顔を覗かせてこちらをじっと見ていた。

 

老人が突然笑いだして草むらから這い出てくると、老人の首を咥えたまた別の子猫だった。

 

昨日の夜に見た夢は、そういうちょっと怖い夢だったのだが、朝起きた時には忘れていた。

 

でも、ついさっきドレッシングを作っていたら思い出したので、大急ぎでここに綴っておく。

 

きょうの夕飯はヤギの肉です。

 

人喰い子猫に襲われたけれど、白い子ヤギが助けに来た夕暮れ下山日記。

 

 

 

【業務用】山羊カット精肉1kg

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月白貉