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ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲が自らの感覚で日本を歩きまわって見聞を広めたように、故郷を離れて旅を続けるぼくが、ぼくの感覚でその土地を歩き回って、見たり聞いたり嗅いだり触ったりした、ぼくの見聞録です。

ドッグもキャットも私のゴーストも囁く、非日常ゾーン日記

幽霊みたいなものが存在するのか、あるいは存在しないのか、と問われれば、なんとなくだが存在するだろうなと思っている。

 

ちなみにいわゆる“霊感”などと呼ばれる特殊能力は自覚としては持ち合わせていないが、かつて一度だけ常軌を逸して怖ろしい体験をしたことはある。

 

大学生の頃、深夜のアルバイト先で、閉店後の誰もいないはずの二階から階段を降りてくる確かな足音が聞こえ、その直後に部屋の天井にある蛍光灯が、カウントダウンでもするかのように1本ずつ消えはじめたのである。ちなみにその室内に備え付けられた天井の蛍光灯は全部で8本あったのだが、その照明に対してのスイッチはひとつしかなく、蛍光灯を1本ずつ消すということは不可能なのである。けれどなぜかその時、蛍光灯が規則正しく順番に1本ずつ消えはじめ、部屋の中が徐々に暗闇に包まれていった。

 

その後のことは怖ろしすぎて、ここに書くことすら憚れる。

 

翌日、再びシフトに入った際に蛍光灯を確かめたのだが、すべての蛍光灯は正常で、切れているものなど1本もなかった。そのことを店長に話したところ、「あ〜、出ちゃったか、このビルにはいるんだよ、たぶん三階にいる。でも深夜になると二階とか一階に降りてくるんだよ。あ〜、出ちゃったか。」と真顔で言われた。

 

一体何がいるのかと聞いたのだが、店長は「わからない。」とだけ言っていたのが怖ろしかった。果たしてあれが幽霊と呼ばれる人間の霊魂だったのか、あるいはまったく違うもだったのかは今でもよくわからないが、直感的に何か邪悪なものだという感覚はあった。

 

もうひとつ、日々の生活の中で、ちょっとおかしいなあと思うことがある。

 

近所にいる普段はすごくおとなしい犬に、極稀に狂ったように吠えられることがあるのだが、そういう日は大抵その犬だけではなく、例えば散歩中の見知らぬ犬からも激しく吠えられたりする。さらに野良猫の反応も若干違和感があったりする。

 

つい最近も同じようなことがあったので、一体どうしてだろうかと真剣に考えてみたのだが、そういう日に限ってちょっと特殊な場所に足を踏み入れていることに気が付いたのである。

 

特殊な場所というのは、例えば墓地とか、神社とか、あるいはかつて古墳だった場所だとか、過去の歴史の中で大量に人が死んだとされる場所だとか。

 

まあ古墳とか自殺の名所はさておき、寺院や神社は神性な場所だから、例えば幽霊だったり妖怪だったりするような異質なものは一切いないとよく言われるが、ぼくの聞いた話だと、寺院や神社のほうがおかしなものが集まりやすいとのことだった。特に日が落ちてからや雨の日の神社には、なかなか邪悪なものがいるらしいとか。

 

つまり、犬が吠えたり猫が避けたりする日と、そういった特殊な場所に足を踏み入れた日が重なるということは、そこにいた見えない何かが自分に付いて来てしまっていて、あるいは憑いてきてしまっていて、それが見えている犬や猫が普段とは違う異常な反応を示しているのではないのかと、ふと考えてしまったのである。

 

ついでにもうひとつ、日常生活の中でおかしいなあと思っていることがある。

 

例えば道端で、前から歩いてくる通りすがりの見知らぬ人が、やけにこちらの顔を見ながら不気味な笑顔を浮かべていることがある。たまたまその人の都合で笑っていたタイミングだっただけで、気のせいだと言われればそれまでの話なのだが、なにやら違和感を感じるのである。その話を一度、ちょっと特殊能力のある知り合いに話してみたところ、「それ、人じゃなくて悪魔ですよ。」と言われたことがある。

 

一体どういうことかと聞いてみると、「おれもよくありますよ、笑ってるだけじゃくて、一度、隣で信号待ちしてた、ついさっきまで何の変哲もなかったおじさんの顔色が急に変わって、おれにすごく近付いてきて、笑いながら、お前知ってるんだろって、言われたことありますよ。」と言っていた。

 

彼が言うには、それは人間の幽霊とかそういうものではなく、もっと邪悪な存在のもので、簡単に言うと悪魔だということだった。

 

なんだかよくわからないことって当たり前に日常にあるけれど、多くの人はそういうことから無意識に目を背けることに慣れてしまって、それがあたかも存在しないことのような錯覚をおこしているのかもしれない。

 

だからたぶん、幽霊みたいなもの、いると思う。

 

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月白貉 - Mujina Tsukishiro