ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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悪魔祓いで尼僧を殺害し投獄された司祭、実話に基づく悪魔映画『THE CRUCIFIXION』。

“悪魔”というものを描いた映画というのは思った以上に多いと感じる。

 

もちろんそれは地球上のあらゆる民族において、原初の時代から認識されている対立物、光と影、善と悪、などと同じように神と悪魔という概念が存在しており、国や文化や宗教を問わず誰もが知る事物だからだと言えなくもないと思う。

 

特に映画という媒体において描かれる題材は、その多くが普遍的に、意識的にせよ無意識的にせよ多くの人々がよく知っている事柄である場合が多い。愛とか恋とか、金とか、食欲とかセックスとか暴力とか、そういうものの中に当たり前のごとく神と悪魔というものが含まれている。

 

だから例えばもし、そういうものを一切排除して、誰一人知らないような事柄を当たり前のこととして作品に詰め込んだところで、多くに人にとってはまったく理解しがたいモノにしか見えないはずである。

 

だから悪魔映画が世に蔓延っているのはつまり、悪魔と言えば誰でもおおよそのイメージを持ち得ているからこそ描きやすいし、だからこそ興味を惹きやすいし、ある意味では受け入れられやすいごく自然なテーマなのではないのだろうかということである。

 

文化人類学の父”と呼ばれるイギリスの人類学者エドワード・バーネット・タイラー(Sir Edward Burnett Tylor)は著書『原始文化』(Primitive Culture)の中で以下の様なことを述べている。

 

ネイティブ・アメリカン(インディアン)はみな、悪霊が自分たちに対して力を振るっていることをはっきりと確信している。彼らの前には善神も微かに姿を現すが、ほとんどの場合において悪霊を恐れるほどには善神を敬うことはない。おそらく彼らは人間の運命において、《邪悪なる存在》よりも《善良なる存在》の方が弱いものだと見なしていると考えて差し支えないであろう。

 

つまり悪魔映画で描かれている主役は、一見すると例えば悪魔に対抗するエクソシストやその主である神のような善の存在に見えるがそうではなく、圧倒的な強者として描かれている“悪魔”という邪悪な存在の方なのかも知れない。

 

というわけで、ついつい余計な雑談が長くなりがちだが、今回はぼくの大好きなホラー映画の細分化ジャンル、悪魔映画の最新作を取り上げたいと思う。

 

『フロンティア』(Frontière(s))や『ヒットマン』(Hitman)などで知られるフランス出身の映画監督、ザヴィエ・ジャン(Xavier Gens)による『The Crucifixion』である。

 

The Crucifixion

image source : The Crucifixion

 

ちなみにこのタイトルは「ザ・クルゥーサァフィクシャン」と読み、“はりつけ”、特にキリストのはりつけのことや、苦難などを意味する言葉である。

 

本作品はルーマニアと英国の共同制作のようで、昨年2016年10月にロサンゼルスで行われたスクリームフェスト・ホラー映画祭(Screamfest Horror Film Festival)で初演されている。そしてこの2017年にはアメリカでの公開を予定しているが、現在日程などに関しては未定だということ。

 

物語はもちろん悪魔を題材にしたもので、尼僧を殺害して投獄された司祭の実話に基づく話らしい。

 

さて、公開されている予告編を観る限りだとなかなかのクオリティーを匂わせるし、衝撃的なシーンが多く含まれている。こういう映画が苦手な方は観たらいけないレベルの予告編であるが、暇を持て余している悪魔映画愛好家の方は、ぜひご覧いただきたい。

 

 

 

 

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