ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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スラッシャー映画にルーキー登場、狂犬のような殺人鬼『ピッチフォーク』(Pitchfork)の真夏の悪夢。

ホラー映画のジャンルの中には、俗に「スラッシャー」(Slasher)と呼ばれる細分化ジャンルがある。

 

この「Slasher」という言葉の意味を辞書で調べると、

 

1、slashする人、もの

2、(ナイフやカミソリなどで人を襲う)切り裂き魔

3、人体を切り刻んだりするホラー映画、スラッシャーもの映画

4、(オーストラリア、ニュージランドでの)低木・下生えなどの切断用機械の名称

 

などとある。

 

つまりスラッシャー映画とは、簡単に言うと、刃物などを使用して人を殺しまくるサイコパスが登場するホラー映画のことである。

 

もっとも代表的で世に広く知れ渡っているもので言えば、例えば『ハロウィン』(Halloween)シリーズや『13日の金曜』(Friday The 13th)シリーズなどが挙げられる。そしてもちろん、そういったスラッシャー映画の主役と言えば、作品内に登場するアイコニックな殺人鬼の存在である。前者で言えばシャトナーマスクの貴公子ブギーマンことマイケル・マイヤーズ、後者ではもちろん、ホッケーマスクの騎士ジェイソン・ボーヒーズ、両者ともホラー映画界のプリンスとでも呼べる存在である。

 

この二人の他にも、当然その座を狙うアイコニックでサイコパスな殺人鬼たちは山ほどいる。そして、また新たに、その王座争奪戦に参戦したルーキーの作品が登場している。

 

グレン・ダグラス・パッカード(Glenn Douglas Packard)監督による、『Pitchfork』である。

 

Pitchfork

image source : http://pitchforkfilm.com/

 

本作品の公開は劇場とオンデマンドで、2017年1月13日、なんと“13日の金曜日”、完全に直球で王座を狙いに来ているわけである。

 

ちなみにタイトルにもなっている『Pitchfork』とは、一般的には木製の長い柄と、鉄製の長くて広がった歯を持つヨーロッパ起源の農具であり、刈り取った麦や干草、葉、ブドウの実、その他農作物を持ち上げたり、投げたりすることに使うものである。もともとフォークというのはこの農具のことで、この機能を模して発明された食器が皆さんもよく知るあのフォークなのだが、現在では食器の知名度のほうが高くなっているため、単なるフォークはむしろ食器のフォークの呼称として主に使われるようになっている。

 

このピッチフォークはたいてい2本から6本の歯を持っていて、その使用目的によって歯の長さや間隔は多様である。また、かつてのヨーロッパでは、ピッチフォークは剣や銃など高価な武器に手が届かない人々の武器としても使用された。これは歴史モノの映画などでもよく目にする光景で、圧政に反旗を翻す農民や、あるいは荒れ狂う暴徒と化した住民が、ピッチフォークを武器として携えていることがしばしばある。また昨今のサブカルチャーにおいては、悪魔が持つ武器として絵画などに描かれていることもある。

 

このピッチフォークという名称こそが、本作品に登場する殺人鬼の名前なのである。ちなみに本名は、ベン・ホリスター・ジュニア(Ben Holister Jr.)。そしてピッチフォーク役を演じているのは、ホルヘ・バルデス・イガの『ホテルチェルシー』(Hotel Chelsea)で知られるダニエル・ウィルキンソン(Daniel Wilkinson)である。

 

さて、注目の殺人鬼のヴィジュアルであるが、ボロボロのパンツに上半身は裸、左手のない血まみれの左腕に4本の歯を持つピッチフォークを、鉄条網か針金のようなものでぐるぐる巻きにして装着している。そして頭には獣のマスクをかぶっている。造形からするとピッチフォークを爪に見立てている熊か、あるいは狼のようにも見受けられるが、ストーリーラインによると、どうやら犬を模しているようである。公式のポスタービジュアルではピッチフォークには首輪がかけられ、鎖で繋がれている。ルーキーだけにまだまだ重厚さは伺えないが、見方によってはどこぞの原住民の祭儀の扮装のようでなかなかイカしている。

 

Pitchfork

image source : http://pitchforkfilm.com/

 

とうわけで、現時点で本作品の予告編が2種類公開されているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。

 

さて、このルーキーは果たしてジェイソンを超えられるかな。

 

 

 

 

 

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