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ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲が自らの感覚で日本を歩きまわって見聞を広めたように、故郷を離れて旅を続けるぼくが、ぼくの感覚でその土地を歩き回って、見たり聞いたり嗅いだり触ったりした、ぼくの見聞録です。

雨と花の苦痛

小説 小説-短編

恐怖や不安は唐突に心に芽を出し、凄まじいスピードで成長して、花を咲かせる。

 

些細な日常には恐怖や不安の種が、空中に舞う禍々しいダニのように溢れていて、なんてことのない微塵な切っ掛けで心の隙間に入り込んで、そのどこかにしがみ付く。

 

雨と花の苦痛

 

恐怖や不安は、そうやって心にしがみ付いて芽を出し、凄まじいスピードで成長し、花を咲かせる。

 

すぐに枯れてしまう花もあれば、一度咲いてしまうと一生かかっても枯れない花もあるかもしれない。

 

花がいったい、心の何を貪っているのかは知らない。ただ花は、心だけではなく肉体をも貪る。血を吸い肉を食らう。精神的な苦しみだけではなく、肉体的な痛みを生み出す。

 

心の周囲にある血肉にも、その根をゆっくりと伸ばす。

 

心はどこにあるだろう。花を心ごと、今すぐにでもむしり取りたい。

 

どうしたら花を、茎を、根を、我が身からもぎ取れるのだろうと悩み、足掻くけれども、それは自身ではどうにも出来ない。

 

「音楽を聴いたら枯れるかしらん、それとも映画を観たら枯れるかしらん、あるいは、美味しいごはんを食べたらきっと枯れるかしらん。」

 

きょう、我が身に花を咲かせた恐怖と不安は、もうかれこれ4時間近くも、私のすべてを吸い取るようにして、体を衰弱させてゆく。

 

降り続ける雨を飲み込み、溺れて死んでしまえば、花は枯れるだろうか。

 

けれど死んでも、もしかしたら花は枯れずに心に根を張ったままかもしれない。

 

心はどこに、死はなんなのか、花はいつ枯れるのか。

 

恐怖や不安は唐突に心に芽を出し、凄まじいスピードで成長し、花を咲かせ、心の養分も、肉体の血液も、今日も明日も、死も、吸い続ける。

 

外では雨が、降り続いている。

 

 

 

月白貉

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