ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

follow us in feedly

痙攣を起こす素晴らしき映画ポスターの世界、アフリカのガーナはアウトサイダー芸術の宝庫。

以前このウェブログでは、ジョナス・ファスコ(Jonas Fasco)さんというアフリカのガーナでシビれる映画のポスターを描き続けるアーティストの話題を取り上げた。

 

関連記事アフリカのガーナで、痺れる映画ポスターを描く男。 - ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

 

ところがどっこい、ガーナには彼以外にも映画のポスターを描き続けるアーティストたちが数多くいるようで、ここ10年ほどの間に何冊かの画集にもなっているほど欧米のポップカルチャー内では比較的メジャーな存在となっているようなのである。

 

そして現在では、その多くがインターネット上でも購入可能な作品となっているそうである。 

 

ジョナス・ファスコさんの作品でもわかるように、彼らの作品はとても独特で奇想天外、ある意味ではパロディ作品としても捉えられるような作風である。しかしガーナで描かれている映画ポスターは決してパロディなどではなく、アウトサイダー芸術のいたって真剣で真面目な作品であり、ではなぜあんな奇抜な映画ポスターになるのかと言えば、西側のアフリカ諸国の農村部では、未だに電気のない生活を送る村が少なくない。

 

その為、このような映画ポスターを描いているアーティストのほとんどが、実際には題材となっている映画を観たことがないそうなのである。

 

だからこそ生み出せるあの有機的なシビれる迫力。

 

では今回もいくつか作品を取り上げてみたいと思う。

 

ポール・W・S・アンダーソンの『エイリアンVSプレデター』(Alien vs. Predator、AVP)。

 

ghanaian art

image source : https://alancook.files.wordpress.com

 

プレデター』のクリーチャーはまあまあ、けれど『エイリアン』のゼノモーフが完全にメカゴジラと化している。もはや東映の『プレデターメカゴジラ』。メカゴジラなゼノモーフが圧倒的に優勢な映画の予感。

 

 

ケン・ウィートとジム・ウィートによる『エンドア/魔空の妖精』(Ewoks: The Battle for Endor)。

 

ghanaian art

image source : Sopitas.com

 

比較的公式ポスターのビジュアルに忠実だが、イウォークのビジュアルが完全に敵側になっている。ノアがこれだけリアルの描けているのに、なぜイウォークは不気味なクリーチャーになるかと言えば、おそらく描いている本人がこれを敵だと思っているからだろう。

 

 

ジェームズ・キャメロンの『エイリアン2』(Aliens)。

 

ghanaian art

image source : The Home of Heavy Metal Culture

 

こちらもリプリーとニューとはまとも、ロゴもしっかりしているし、武器もしっかり描けているが、やはり肝心のゼノモーフが哺乳類めいている。目と鼻と口がちゃんとあるし、白い歯もある。動物の豊富なアフリカならではの表現。しかし手が触手になっていて、恐ろしい。

 

 

ブライアン・ギブソンの『ポルターガイスト2』(Poltergeist II: The Other Side) 。

 

ghanaian art

image source : The Home of Heavy Metal Culture

 

 『ポルターガイスト2』がどんな映画だったかという記憶を消し去る強力なインパクト。パズズみたいな悪魔的な霊体は登場していなかったと記憶しているし、巨大なチェーンソーが家族を襲うこともなかったと思うが、このポスターを見た途端に、こんな映画だったような気がしてくる。人形を抱えるぽっちゃりな少女がキャロル・アンなのかと思いきや車にも別ビジュアルのキャロル・アンが乗っている気がする。そして、パズズとその手下たちは謎のボトルから吹き出している。

 

 

ギレルモ・デル・トロの『ヘルボーイ』(Hellboy)。

 

ghanaian art

image source : Juxtapoz Magazine - Home

 

描いている本人はこのキャラクターがヘルボーイだと、絶対に思っているはず。これはヘルボーイではなく、カール・ルプレクト・クロエネン。左上にはヘルボーイ役のロン・パールマンの名前まで書いてあるが、ロン・パールマンは描かれていない。ガーナの映画ポスターの特徴のひとつとして、どこかしらが無意味に爆発している。

 

 

最後にこれ、ロバート・ロドリゲスの『プラネット・テラー』(Planet Terror)。

 

ghanaian art

image source : Juxtapoz Magazine - Home

 

大いにこの映画を表現していると感じる、素晴らしい。これが公式ポスターに採用されても、誰一人文句など言わないはず。ロバート・ロドリゲスも太鼓判を押すだろう。

 

 

というわけで、ガーナのアウトサイダーな映画ポスターはこの瞬間にも多数生み出されているはずである。インターネット上で探せば数多く見つかるはずなので、皆さんもぜひ探してみていただきたい。

 

 

 

オススメ記事空間の温度変化で、そこに何かがいることを知る。

オススメ記事風呂場から聞こえる不可思議な音が、本当は恐いヤミゴラの入り口な可能性。

 

月白貉