桑畑三十郎が飲んでいる赤ワインには、ジビエなつまみが合う蜃気楼日記。
もうこれ以上酸素が吸えないと思うところから、冒険がはじまるのさ。
我に近寄らば呪われる、そんなくらいが、ちょうどいい。はい、ちょうどいい。我が呪いを甘んじるものは、近付きたまえ。
なんだかふと思ったが、ぼくは50歳くらいになったら、大きなバックパックひとつ背負って、旅に出るんじゃないだろうか。そしてそのまま、何十年も旅を続けて、いつか前人未到の地で昇天するんじゃなかろうか。未知の遺跡とか見つけてさ、中には太古に飛来した宇宙船とかあって。楽しそうだなあ。
きょうの教訓:思いのほかくだらない努力が、真実への扉となる。
ジャンクな赤ワインを飲みながら、スウェーデンが舞台の映画と黒澤明の『用心棒』を観る。ジビエなつまみで美味しい赤ワインが飲みたい。嗚呼、飲みたい。
今日の朝起きたら、どうも左手の中指先がすごく痛いので、じっくり見てみた。縦にざっくり切れている・・・。こんな怪我いつしたんだっけなあ。記憶がない。きのう眠る前までこんな傷なかったのに。なんだかホラーな予感だ。夢遊病か・・・。
ラーメンとかラーメンとか、ラーメンとかいっぱい頭の中に出てくる。ラーメン食べたくなるなあ。この刹那、ラーメンたべたい、小池さん。
おうち帰ってきて、頭の中がごちゃごちゃな中、鶏肉ときのこを赤ワインで煮込む。雑念があると、料理はうまく作れない。気がつくと、きのこが天井に張り付いていたり、鶏肉がズボンの左ポケットに入っていたり、ワインをそっと浴槽に注いでいたり。それでもいつしか、鍋の中には、赤ワインで煮込まれた鶏ときのこがあるのだよ。
サウイフモノニワタシハナリタイ
完璧なものを求めすぎていた。現在進行形、完璧なものを求めすぎている。いろんなものを捨て去った日から、ずいぶんその傾向は和らいだけれど、いまでもその気質は拭いきれない。和らいでるわけじゃないんだ、おさえる術を手に入れたんだ。おそらく一生、つきまとうだろう。
ほっかほっか亭でお弁当買って海みたいな湖をみにゆく。湖で出会ったおばあちゃんに、「弁当駆けですか。」って言われる。
ベントウガケデス。
湖の向こうの蜃気楼のような街をみながら、ベントウガケデス。いろいろ悩みすぎて、きのうはすっごく久しぶりによく眠ることが出来なかった。でもけっきょく最初からぼくは決めているのさ。たとえそれが苦痛を伴う判断であったとしても、思いついた時点でもう決めちゃっている。そういう性分なのだった。だからずっと歩いてこられたんだ。
朝起きてすぐに、やっぱり自分に嘘はつけずに、もう動いていた。家に帰ってきて、牛乳を飲んだ。少しだけ気が重い。間違うことなんてたくさんある。けれど間違った道でも、そこを切り開いて進んでゆく力がぼくにはあると信じている。
雨の音は聞こえども、暗闇にその雨粒はみえず。
おやすみなさい。
月白貉