ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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鉛筆の芯から創造されたスケルトン『Ash Dancer』は、紙の上で悶えながら灰へと帰す。

ここ数年、鉛筆という道具をほとんど使わなくなった。

 

こうやって文章をパーソナル・コンピューターのキーボードで打ち込んでしまうし、手紙や、あるいは何かのメモ書きや宅配便のサインも、ボールペンか細筆のマジックか、もしくは筆ペンを使ってしまっている。

 

日常的にデッサンでもするようなことがあれば、鉛筆を少なからず握るだろうが、そんな生活も送っていない。

 

鉛筆を使わなくなったということは、ある意味では退化なのではないかとも感じる。最先端の技術に塗れることを人々は進化と呼ぶが、それは大いなる誤りであり、過去の概念への回帰こそ、進化なのではないのかと、ぼくは常々感じている。

 

というわけで、今回は、鉛筆の芯でもお馴染みのグラファイト、つまり黒鉛の話。

 

アーティストのアジェリオ・バトル(Agelio Batle)さんが発表した、グラファイトによる実物大のスケルトン、つまり人体の骨格がなにやらすごい迫力である。

 

Ash Dancer by Agelio Batle

image source: Ash Dancer by Agelio Batle - YouTube

 

このグラファイトによる彫刻の作品名は『Ash Dancer』、灰のダンサーとでもいうべきものだろうか。

 

そしてこの作品は、ただ黒鉛の彫刻というだけには留まっていない。それは作品名にもあるように、このスケルトンを振動台の上に敷いた大きな紙に寝かせ、台を振動させることによって紙にその動き回る跡を描かせているのである。

 

 

感のいい方はお気付きだろう、振動を続けるグラファイトのスケルトンは、体を削らして紙にその影を記すことによって、徐々に徐々に消え行くのである。

 

つまりはそれが、『Ash Dancer』。 

 

 

現在、この作品は米国サンフランシスコのジャック・フィッシャー・ギャラリー(Jack Fischer Gallery)にて展示中である。

 

もし興味のある方は、お早めにシスコに飛んでいただきたい。いずれすべては灰へと帰してしまうので。

 

Ashes to ashes, dust to dust...

 

『Ash Dancer』の詳細はこちら。

Agelio Batle, Sculptor: Collections

 

アジェリオ・バトルさんは作品の販売もしている。

Batle Studio

 

ジャック・フィッシャー・ギャラリーの詳細はこちら。

The Jack Fischer Gallery : Welcome

 

Amazon.co.jpでもグラファイトの作品を買うことが出来る。

バトルスタジオ グラファイトオブジェ ハンド

 

 

 

バトルスタジオ グラファイトオブジェ アントラー

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月白貉