ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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オーストラリアにいる巨大蜘蛛、ハンツマンが吉良吉影である可能性。

蜘蛛とは、糸を出し、上顎に毒腺を持ち、それを用いて小型動物を捕食する、肉食性の陸上節足動物のことである。

 

蜘蛛と言えば、糸を使って網を張るイメージが強いが、実際にはほぼ半数の種が網を張らずに獲物を捕まえる。人間に致命的な害を及ぼすほどの毒を持つものはごく少数に限られるが、そういった毒の弱い種でも人間を噛むことはある。

 

日常的には「虫」と言われる生物群の一つであるが、節足動物門六脚亜門に属する昆虫とは全く別のグループに属する。昆虫との主な区別点は、脚の数が8本であること、頭部と胸部の境界が明確でないこと、触角を欠くことなどがあげられる。

 

ご存知のように、蜘蛛は日々の生活の中でも見かけることの非常に多い生物だが、以前にこのウェブログでもご紹介した通り、蜘蛛が哺乳類を捕食する衝撃映像が、オーストラリアのクイーンズランドにあるカパベラという町で、ジェイソン・ウォーマル(Jason Wormal)という人物によって撮影され、Facebookにアップされたその動画が話題を呼んだことは記憶に新しい。

 

その詳細および動画は以下の関連記事に詳しいので、興味のある方は是非にもお読みいただきたい。

 

関連記事哺乳類を捕食する蜘蛛の映像、日常に潜む本当はコワい昆虫の恐怖。 - ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

 

そんな折、同じオーストラリアのクイーンズランドにあるブリスベン・バレーにおいて、一年ほど前に撮影されたという同種の大型の蜘蛛の写真が話題を呼んでいるようである。

 

 

この写真は、動物の保護や救済の為の農場施設「Barnyard Betty's Rescue」(バーンヤード・ベティーズ・レスキュー)という場所で撮影されたもののようで、同農場のFacebookに2015年10月15日に投稿されたものである。

 

おそらく一緒に写っているのは、ベティーさんだと思うのだが、なかなかの巨大蜘蛛である。

 

ちょっとした昆虫パニック映画に登場する蜘蛛のレベルだと感じる。

 

彼女によると、これは前述の哺乳類を捕食していた蜘蛛と同種のハンツマン・スパイダー(huntsman spider)という種類であり、日本で言うところのアシダカグモの一種だということで、この写真が広まると、「フェイクでしょ。」とか「加工した写真でしょ。」とかいうコメントが多く寄せられたそうだが、そんなことしていないリアルな蜘蛛ですよ、とのことである。

 

そして彼女はこの蜘蛛に対して以下のようなコメントを述べている。

 

She was a beautiful, calm spider, not aggressive in any way and like most spiders she just wanted to go about her business eating bugs and living in peace. She didn't or doesn't need to be killed! Poor spiders are so misunderstood!

 

美しくて穏やかな蜘蛛だし、静かに平和に生きていると。

 

吉良吉影は静かに暮らしたいだけだと、そういうわけである。

 

確かにアシダカグモは特に人間に危害を加えるよう蜘蛛ではないようで、とても臆病だと言われている。ぼくの家にも時期によっては、ここまでの巨大さではないが大型のアシダカグモが闊歩していて、ベランダに干していた座布団の裏にいた際に、間違って掴んでしまってちょっと噛まれたことはあるが・・・。

 

 

まあ確かにハンツマンは、自分が必要とする最低限の獲物しか襲わないだろうし、わざわざ人間を襲うようなことは滅多なことがない限りしないだろう。

 

けれど、人間がすべての生物を理解していると思っているのは傲慢な話で、彼らの本当の姿やその思考などは、人間には決して理解できていないはずであるとぼくは思う。

 

ずいぶん昔だけれど、イギリスの学術雑誌『ネイチャー』(Nature)に、「イルカは危険な生物の可能性がある。」という論文を発表した学者がいた記憶がある。その根拠となっているのは、イルカが食物を得るためだけではなく、快楽として生物を殺す可能性があるからだそうである。ある種類のイルカは実際に、仲間のイルカを遊びとしてなぶり殺すことがあるというようなことが、確かその論文には書いてあった。だから、セラピーとしても活用されているイルカとの交流は、ケースによっては非常に危険な可能性を秘めているとも書かれていた。

 

その論文がどの程度の信憑性を持っているのかはわからないが、この世界に絶対ということなどありえないとだけは言えるだろう。

 

だからあるいは、このハンツマンの中のある一匹が、他の仲間とは違った独自の思考を持ち合わせていて、あの吉良吉影に成り得る可能性だって否定はできないだろう。

 

というわけで、世界はまだまだ、未知の謎と危険に満ちていると思いますよ。

 

このレベルの蜘蛛、もしかしたら探せば日本にもいるだろうか?

 

 

 


月白貉