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ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲が自らの感覚で日本を歩きまわって見聞を広めたように、故郷を離れて旅を続けるぼくが、ぼくの感覚でその土地を歩き回って、見たり聞いたり嗅いだり触ったりした、ぼくの見聞録です。

憑物筋というもの - キツネにならきっとわかる憑物の話 -〚 第参話 〛


地方によっては、憑物を代々祭っていたり飼っていたりするといわれる家があって、そういう家のことを「憑物筋」と呼んでいる。

 

祭っていたり飼っている憑物の種類によって、例えば、狐持ち、トウビョウ持ち、犬神筋、クダ屋などと呼ばれる家が存在するわけである。

 

憑物筋というもの - キツネにならきっとわかる憑物の話 -〚 第参話 〛

 

ただ、すべての地方にこの憑物筋というものがあるわけではなく、憑物筋という考え方が存在しない地域も多い。そういった場所においては、たまたま野にいた狐や狸が突発的に人に憑いたりすると考えられているわけであり、被害者はいても加害者(つまり同じ人間の中の加害者)となるものは存在しない。しかし憑物筋という考え方がある地域においては、明らかに加害者がいることになってしまうので、厄介な話になってくる。

 

その分布によって見てみると、近畿地方、特に北陸地方や東海地方の西部、山陽地方の東部には憑物という俗信自体が少ないため、当然この憑物筋というものもほとんど見られない。また東北地方、九州の西部南部にも、特殊な残存例は見られるもののほとんどないに等しい。

 

しかし東日本においては中部地方と関東地方の一部、西日本においては中国地方と四国、そして九州の東北部ではかなり多くの例が見られる。特に西日本の出雲を中心とする山陰の中部、土佐の播多郡地方、豊後の両海部郡地方(現在の大分市佐伯市臼杵市津久見市などにあたる)にきわめて多いと言われていて、これが日本における三大憑物筋地帯ではないかと考えられていたという。

 

具体的な数でいうと、例えば数の少ない東北の各地や九州の西南部においては、一町村に一軒あるかないか、東日本の中部と関東の一部になると旧一町村に一軒か二軒、多い時には十数軒という場合もあるという。これが西日本の三大憑物筋地帯になってくると、一町村に数十軒、場所によっては半数以上とか100パーセントなんていう地域まで存在したという。

 

ちなみにこれは昭和二十年代から三十年代にかけての調査による数字であり、現在の状態については定かではない。

 

次回へ続く。

 

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