中目黒ドリーミー
おかしな夢を見て、まだ暗い早朝に目が覚めたので、散歩に出かけてみる。
朝六時台にも関わらず山手線が鮨詰めの東京。
冬の朝は気持ちがいい、太陽の光と冷えた空気と蜘蛛の巣にあふれている。
めっぽうやたらと写真を撮りながら見知らぬ街をあてもなく歩く。
おじいちゃんが営む小さなパン屋で、メンチカツパンとサラダパンを買う。メンチカツパンがおいしい店は、たいてい何でもおいしい。サラダパンにはポテトサラダとゆで卵がいる。
歯が抜ける夢を見るときは、何かが成長する兆しだと教えてもらう。じゃあ、歯なんか全部抜け落ちてしまえばいいと思う。本当は怖いからいやだ。今日の朝は楽しい。朝が楽しい日は、一日中楽しいに決まっている。
だってもしそうじゃなければ、この世界に救いなんてない。
歯抜けのじいさんもばあさんも、後ろ足が二本の猫も、ケチャップが緑色のホットドックもない。
どうか今日一日、歯が抜けませんように。
そして夢では歯抜けになりますように。
月白貉