ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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嵐の夜に屍を埋めに来る男

昨日の夜中から朝にかけて、ものすごい強風が吹き荒れていた。

 

実家はもうだいぶ古いので、まさに家が震えんばかりだった。

 

真夜中にその震える音で目が覚めてから朝まで、夢と現が定かではなかった。

 

その強風の中、誰かが家の周りをぐるぐると回って、最後に、もう更地になってしまった家の庭に、革製のバッグをおいて立ち去ったと、真夜中に母が父に話している声が聞こえた。足音が絶え間なく響いていて、心配になって外を見に行ったらバッグがおいてあった、と。そういう話し声が聞こえた。

 

夢と現が定かではない。

 

朝方、ぼくの腕をたたくものがいた。そして目が覚めると、もう十時を回っていた。誰が腕をたたいたのかは、わからなかった。強い風の吹く夜は、夢と現がかき回されて、不思議なことがおこるのだろう。

 

そうだもうひとつ思い出した。

 

革製のバッグの話の続きを、母が話していたんだ。この土地は、死んだ人間を埋めるために特殊な仕様になっている。だから決して庭を掘り起こしたりしてはいけない。深い場所には到達してはいけない。

 

そういう話も真夜中にしていた。

 

風はいったんやんだが、ぼくが朝ごはんを食べ終えると、また激しい風が吹き始めた。家が揺れている。

 

さて、庭を掘り起こしにいってみよう。

 

昼は夢 夜ぞ現

 

お題「最近見た夢」

 

夏の夜の夢・あらし(新潮文庫)

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月白貉