ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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それは私が痛さを気にしないからだ -『プロメテウス』(Prometheus)

ギリシャ神話に登場する「プロメテウス」という神がいる。

 

全知全能の神ゼウスの反対を押し切り、未熟な存在の人類に「神の焔」、つまり天地創造の力を持つ「火」を与えた神として知られ、またその人類自体を創造した神とも言われている。

 

人類は火を手に入れたことで自分たちの進化や文明の発展を大いに成し遂げるが、人類に火を与えることを強く反対したゼウスが危惧し、そして予言した通り、人類はその火を使って武器を作り出し、その武器を使って人類同士で戦争を始めだすことになる。

 

ギリシア・ローマ神話辞典

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ギリシア神話 (図解雑学)

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そのため「プロメテウスの火」という言葉は、人類の力では制御出来ない強大な力、さらには大きなリスクをもつ技術を指し示すものとしてしばしば用いられる。

 

プロメテウスの火 (始まりの本)

プロメテウスの火 (始まりの本)

 

 

昨今で言うところの「原子力」などは、まさに「プロメテウスの火」に相当するものだろう。

 

さて、このギリシャ神話の中でも人類にとって実に重要な意味合いをもつ「プロメテウス」、その名前をタイトルに掲げる地球外生命体映画があることは、もちろんご存知のことだと思う。以前にも言及した地球外生命体映画「エイリアン」、その前日譚を汲む映画として同監督の手によって描かれたSF作品である。

 

 

というわけで、今回の地球外生命体映画は「プロメテウス」である。

 

 

この「プロメテウス」には続編が予定されていて、「エイリアン」の前日譚を描く作品は、この「プロメテウス」の後にあと三作品、全四部作の壮大な物語となっている。当初、監督であるリドリー・スコットは「プロメテウス」の第二章に言及し、続編のタイトルは「エイリアン:パラダイス・ロスト」と語っていたが、その後の正式発表で「エイリアン:コヴナント」と決定している。

 

「プロメテウス」を鑑賞済みの方は、やはり続編におけるタイトル「コヴナント(Covenant)」の意味合いが大いに気にかかるところであろう。

 

この「Covenant」は「契約」、「盟約」、あるいは「誓約」などという意味合いの言葉であり、神学でいうところの「神とイスラエル人との間の聖約」という意味も込められている。あの「プロメテウス」のラストシーンから考えて、ああだのこうだのと今から色々と思いを巡らせてしまう。

 

さて映画の話の方に移ってゆこう。

 

「プロメテウス」は2012年に公開されたアメリカのSF映画で、前述の通り「エイリアン」のリドリー・スコットが監督を務めている。

 

 

ちなみにぼくはこの映画をずいぶん楽しみにしていたのだが、残念ながら映画館で鑑賞する機会を逃してしまい、後日DVDを購入して自宅での鑑賞となった。公開当時の世間の評判はといえば、主にそのストーリーに関して賛否両論あったのだが、ぼく個人としては十分に満足のゆく出来栄えだと思っている。特に前半の宇宙船内、あのスタンリー・キューブリックを思わせるような描写や、独特の雰囲気を持った合成人間の存在などなど、ずいぶんと見応えがあった。確かに後半部分、若干なし崩し的な感も否めなかったが、トータルとしてはずいぶんおもしろい映画である。今までに少なくとも10回は観返しているだろう。

 

さてでは、あっさり味であらすじを説明すると、

 

人類を創造した地球外生命体がいるらしいからみんなで会いに行こうよ!という話である。

 

タイトルになぜ「プロメテウス」という神の名前が掲げられているかがおわかりいただけたと思う。またぼくがこの映画のあるシーンにおいてスタンリー・キューブリックの影を感じたことも、この部分に少しだけ関係があるような気がする。

 

かつてキューブリックが描いた壮大なSF映画2001年宇宙の旅」をご覧になった方は、あるいはおわかりかもしれない。

 

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さてこの映画を観ていて、ぼくが非常に気になったことがひとつある。

 

「エイリアン」シリーズには無くてはならない存在である合成人間、いわゆるヒューマノイドあるいはアンドロイドがもちろんこの「プロメテウス」にも重要な役割として登場してくるのであるが、幾つかのシーンでそのアンドロイドに結び付けられている、とあるイギリス映画の存在である。

 

それはイギリスの陸軍将校を描いた某有名映画で、

 

この後の内容を書こうかどうか悩んだのであるが、たまたまこの文章を読んでいる「プロメテウス」未鑑賞者の方に、必要以上の情報を植え付けてしまって純粋に映画が楽しめなくなってしまってはコトであるため、ここではグッとこらえて差し控えることにする。もちろん鑑賞済みの人の中には、ぼくがここで書こうとしていることをとっくの昔にご存じの方も多いであろう。

 

ごくごく少しだけ触れておくと、このアンドロイドはデヴィッドという名前の役柄で、ドイツ系のアイルランド人であるマイケル・ファスベンダーが演じているのだが、よくよく見ていると彼のしゃべり方が非常に気になるのである。

 

まあ、そのデイヴィッドとアレとアレがアレな件の話であるよ、とだけ言及しておこう。

 

そんなこんなで、ぼくとしてはあまり映画の内容の部分ではなく、その映画からちょっと離れたような視点から映画を眺めたいということに注力しているので、今回のこの「プロメテウス」に関しても、エーリッヒ・フォン・デニケンについてのことあたりだったり、あるいはキューブリックアーサー・C・クラークについてのことあたりを書こうと思っていたが、そうするとテンションが上がりすぎて「プロメテウス」という映画から遥か彼方に飛んでいってしまうので、それはそれで別途お話しようと思っている。

 

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決定版 2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫SF)

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さてさて、勝手な構成で勝手に決めている〆であるが、「プロメテウス」でぼくが好きなシーンはと言えば、

 

やっぱり言及することを踏みとどまった前述の、デヴィッドが某有名映画を鑑賞しているシーンだろうなあ。観返している際にそのシーンになると、真似したくて真似したくて仕方がなくなるくらいあのシーンが好きでたまりません。

 

まあそんな具合でね、うっかり口が滑らないうちに、お開きとさせていただこう。

 

お題「何回も見た映画」

 

 

 

 

月白貉