ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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私を宇宙にさらって! - 『インデペンデンス・デイ』(Independence Day)

地球外生命体映画の超大作「インデペンデンス・デイ」の続編が、約二十年ぶりに公開される。

 

タイトルは「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」、日本では2016年の夏公開予定である。

 

タイトルにもなっている「リサージェンス(resurgence)」とは「復活」とか「再起」という意味の言葉であり、一作目に引き続き続編の監督も務めるローランド・エメリッヒは、製作発表の場で以下のような発言をしていると伝えられている。

 

「エイリアンの侵略があった後、共通の敵を相手に世界がひとつにまとまっている。これがリサージェンス、復活の意味だ。」

 

ちなみにこの「リサージェンス」という言葉は、日本では主に農業用語として扱われることが多く、その意味はもともとの英語の意味から転じているものなのであるが、

 

作物学用語事典

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植物育種学辞典

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害虫対策、つまりある特定の害虫を駆除するために農薬(殺虫剤)を使用したことによって、対象である害虫や他の種類の害虫の天敵までをも駆除してしまい、結局は農薬を使用する前よりも害虫が増加してしまう現象のことを指す。

 

つまり、過度な農薬の散布は倍返しになって返ってくるぞということである。そういった自然に反する行為が、土着の益虫として存在する害虫の天敵を殺し、益虫も害虫も関係のない多くの虫を殺し、そこに存在する虫の世界を、ひいては環境全体を不安定なものにしてしまうということである。

 

もともとの英語としての言葉の中にここまでの意味が含まれているのかどうかは定かではないが、これはなんだか「インデペンデンス・デイ」の続編における隠れたキーワードになっているようで実に興味深い。

 

製作発表当時のエメリッヒの言葉を見るかぎり、そういった意味合いでの「復活」は含まれていないかのようにも見受けられるが、あるいはこの続編のタイトルにもなっている「リサージェンス」とは、実はそういう意味なのかもしれない。

 

まあそれは観てのお楽しみであるが。

 

というわけで、今回の地球外生命体映画は当然、「インデペンデンス・デイ」である。

 

 

ぼくはもちろんこの映画を映画館で鑑賞している。それも映画を学んでいた大学生の頃、映画まっしぐらの日々の中での鑑賞だった。そして「インデペンデンス・デイ」とのファースト・コンタクトは、公開前の映画館での予告編だった。「インデペンデンス・デイ」の予告編を観た際の本命の映画は何だったのか、今ではもはやまったく記憶にございません。それはもしかすると、あまりにも予告編の衝撃が大きかったからかもしれない。

 

その予告編を観たあと、ぼくは当時同級生だった特撮マニアの知人に早速そのことを伝えると、彼はもうすでにどこかの映画館でその予告編を観ていたらしく、「ありゃあ、すげえ!!!」と大いに興奮気味に返してくれたことを昨日のことのように思い出す。

 

残念ながら本編は彼とではなく、確かひとりで鑑賞に行ったと記憶しているが、おそらく映画の衝撃が大きすぎて、映画を観に行ったシチュエーションをまったく覚えていない。その頃、ぼくには恋人なんてものはいなかったし、周囲にドSF至上主義の知人は特撮マニアくんくらいだったので、おそらくはひとり寂しくどこぞの映画館に足を運んだのであろうと思う。最前列か、あるいは二列目か三列目の席を陣取って満喫したことだけは何とか覚えているが、それすらも正直定かではない。まあぼくがあの映画を前から三列以降の席で観ることなどありえないという前提もあることだし、そういう思い出にしておこう。

 

さてでは、「インデペンデンス・デイ」がいかなる映画かということを、いつものようにあっさりめに解説すると、

 

地球を侵略に来た地球外生命体が「パねえぜ!」という映画である。

 

いかがだろうか、この解説を読んでよだれを垂らして白目をむいている未鑑賞者の姿が目に浮かんでくる。

 

インデペンデンス・デイ」は1996年に公開されたアメリカのSF映画で、ご存知のように本国アメリカにおける略称は「ID4」とされていた。

 

「ID」はもちろん原題である「Independence Day」の略称であるが、この後に「4」が付くのは何かというと、アメリカの独立記念日インデペンデンス・デイ)である7月4日に由来するものである。

 

監督は前述の通り、ドイツ人監督のローランド・エメリッヒ、そして主演はといえばウィル・スミスとジェフ・ゴールドブラムの両名である。ウィル・スミスに関しては、ぼく個人としてはあまり思い入れはない。彼の主演している映画はけっこう観ているが、どちらかというと観ようと思った映画の主演が彼だったというパターンが多い。それは彼が売れっ子俳優として多くの映画に出演を果たしている成功の証であろう。

 

一方ジェフ・ゴールドブラムと言えばやはり、デヴィッド・クローネンバーグの「ザ・フライ」における怪演が今でもぼくの奥底に焼き付いている。

 

 

他にもSFで言うならば「SF/ボディ・スナッチャー」や「ジュラシック・パーク」、近年印象に残っている作品で言うと、SFでこそないが名作「グランド・ブダペスト・ホテル」でも顔を見かけた。余談ではあるがピーター・ウェラーと共にジャズバンドを結成しているという話も聞く。

 

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さて、この映画でぼくが最も注目する部分は、やはりかの「ロズウェル事件」に関しての言及であろうと思う。

 

UFO事件の半世紀―ロズウェル事件からMIBまで

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ニューメキシコに墜ちた宇宙船―謎のロズウェル事件 (1981年) (Tokuma books)

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 映画内での描写や内容などは、ここではもちろんあえて触れることはしないが、ロズウェル事件と言えは皆さんご存知、かの有名なUFO墜落事件である。

 

まあ実に複雑で情報量の多い話なので、個人的には大いに展開したい話ではあるのだが、ここではその膨大な内容をクドクドとは語らず簡潔に説明する。

 

ロズウェル事件とは、1947年7月にアメリカ合衆国ニューメキシコ州ロズウェル付近に未確認飛行物体(Unidentified Flying Object)、いわゆるUFOが墜落し、そのUFOを米軍が秘密裏に回収、そして情報を隠蔽したという世界でもっとも有名なUFO事件である。

 

その後、この事件についての多くの情報が交錯し合い、様々な形の伏線を残しながら現在に至っている。ぼくもかつて若かりし頃、大いにロズウェル関連の本を読み漁ったことを懐かしく思い出すし、我が日本で言うならば、ご存知UFOディレクターの矢追純一がもっとも得意とする分野の、矢追純一十八番(おはこ)事件とでも言うべきものである。

 

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闇の権力とUFOと日本救済

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ぼくが中学生の頃は、テレビではほぼ毎週のように「矢追純一のUFO特集」を放映していた気がする。なんだったら毎週どころか「森田一義アワー 笑っていいとも!」のタモさんバリに矢追純一が登場していた気さえする。

 

とまあ、UFO愛好家にはたまらないエッセンスも豊富に散りばめられた名作地球外生命体映画が、この「インデペンデンス・デイ」なのである。

 

さて、話の着地どころがロズウェル事件のようにならないうちに、一気に最後のコーナーに移ってお開きとしたい。

 

この映画でぼくが一番好きなシーンはと言えば、最後の大統領演説のシーンもベタによいのであるが、それを差し置いて、何と言っても主人公デイヴィッド・レヴィンソンの同僚、ハーヴェイ・ファイアスタインが演じるマーティ・ギルバートのかすれ声シーンであろう。

 

オフィス内に自転車で登場してくるデイヴィッドを、マーティがかすれ声を張り上げて呼び止めるシーンが、ぼくはなんとて好きなのである。

 

デェイィヴィ〜ッドゥ!デェイィヴィ〜ッドゥ!

 

インデペンデンス・デイ」は何度観ても、あのシーンに限る。

 

お題「何回も見た映画」

 

 

 

 

月白貉