地下水
真っ暗な水の中にぼくはいた。
本当に真っ暗すぎて、暗いということもよくわからなかった。
永い眠りから覚めたばかりで、まだ目を閉じたままだと思っていたら、すでにぼくの目は開かれていて、真っ暗を見ていた。目を瞑っていた時と変わらない真っ暗。じゃあ、目を瞑っていたままでもよかったでしょ。
真っ暗な足下から、ゴボゴボゴボと音をたて、ぼくの体をなめてゆく柔らかな感触。大きなものや小さなものやたくさんいる気がする。まだその姿はよく見えない。けれど、その無数の柔らかな感触は、どんどん上へとのぼってゆく。その先に何があるのか、ぼくは気になって仕方がない。
ぼくも上へゆこう。
月白貉