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ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲が自らの感覚で日本を歩きまわって見聞を広めたように、故郷を離れて旅を続けるぼくが、ぼくの感覚でその土地を歩き回って、見たり聞いたり嗅いだり触ったりした、ぼくの見聞録です。

秘密

小説 小説-吸血鬼

「浦島さん、以前ぼくが言っていた相談事の話、聞いていただけるんでしょうか?」

 

浦島さんはいつものように、薄汚れたヨレヨレのトレンチコートを膝の上にぐしゃぐしゃに丸めて、車窓の外のどこかの景色を、とても透明な笑顔を浮かべながら眺めている。そして時々、ぼくの知らない歌を小さな声で口ずさむ。

 

「どんな相談事でしょうか?」

 

ぼくの方に顔は向けないけれど、なんだかぼくの頭を撫でるような声が響く。

 

「いままで誰にも言ったことはないのですが・・・」

 

浦島さんはぼくの言葉を遮る。

 

「いままで誰にも言ったことのない話ですか、そうですか、なるほどわかりました。

 

では私も聞かないことにしましょう。それはおそらく私の経験から言うとですね、誰かに相談する種類のことではありません。白酒さん、あなたがひとりで誰にも言わずに考える種類のことです。なぜいままで誰にも言わなかったのか、それがどんな秘密なのかは私にはわかりませんがね、それはあなたがひとりで抱えるべきことだと、私は直感的に思いました。だからその相談事は聞きかねます。大変申し訳ないけれど、白酒さんのことを思うが故の私の選択です。あなたがしっかり抱え込んで、考えに考えて、どうしようもなくなったら、まあそうですねえ、私なら忘れてしまいます。だからその相談事の話はやめにして、好きな映画の話でもいたしましょう。」

 

 

 

 

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月白貉