ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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きみとぼくの雨傘

彼女は振り返ってこう言った。

 

スタンド・バイ・ミーって歌があるでしょ、

 

時々きみが口ずさんでる歌。 空が落っこちてきても、 山が崩れてきても、 ぼくは泣かないよって。 わたしはそんなことあったら、 きっと泣いちゃうかも。 こわくて泣いちゃう。 泣き叫んじゃうかも。 たとえきみがそばにいたって。 でもだから、 そばにいてほしいよって思うのかも。」

 

きみとぼくの雨傘

 

その日は大雨が降っていて、 二人がさしている安物の傘の意味なんかほとんどないくらいだった。

 

「いま泣いているの?」

 

顔までびしょ濡れの彼女に、 ぼくがふざけて聞いてみると、 彼女は「もちろん泣いているんだよ!」と大声で叫んで、 持っている傘を空に向かって投げ飛ばした。

 

傘は空には飛んでゆかずに、 すぐにアスファルトの道路に叩き付けられた。

 

 

 

スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編 (新潮文庫)

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スタンド・バイ・ミー <OST1000>

スタンド・バイ・ミー

 
STAND BY ME :Original Motion Picture Soundtrack

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月白貉