ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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ノウタケ(Calvatia craniiformis)- 松江城マッシュルームマップ -

名前を聞いてもピンと来ない肩書がある。

 

例えば考古学者だったら、土を掘り返したりして埋もれた遺跡を発掘して失われた過去の文明について調べているんだろうなあとか、動物学者だったら、世界中にいる動物たちを観察して生態を調べたり分類分けしたりしているんだろうなあとか、勝手ではあるが想像がつく。

 

でも、例えば脳科学者って日々いったいどんなことをしているんだろうということが、ちょっとピンと来ない。脳のことを調べているんだろうなあと漠然とは思うが、はて具体的にどんなことをしているんだろうと、茂木さんがテレビのバラエティー番組に顔を見せるたびに思ってしまう。(ちなみにぼくはもう三年ほどテレビを観ていないので、思っていたというのが正確な言い方だけれど)

 

脳科学者って何をしているんだろう。

 

というわけで、今回のハンティングきのこは「ノウタケ」である。

 

松江城マッシュルームマップ - ノウタケ -

 

ハラタケ科ノウタケ属のきのこで、学名を「Calvatia craniiformis」、漢字で書くと「脳茸」である。 

 

写真の個体はまだ幼菌のためプチパンのような容姿をしているが、成菌になると動物の脳ミソのような造形になることからその名が付けられている。ちなみにノウタケはまだ若いうちであれば食用も可能なきのこでなかなか美味であるようだが、ぼくは残念ながらいまだ試食には至っていない。

 

触り心地はまさにマシュマロのような弾力のある柔らかさでとても心地がよく、つい何度もポフポフと触りたくなってしまうほどである。しかるべき大きさに育ったノウタケが二個か三個も手に入ることがあれば、ぜひ自宅のソファーにクッション代わりに置いていただきたい。数日たてば内部から胞子がポフポフと飛び出し、ソファーからノウタケが大量に生えてくるやも知れぬ特典も付いてくる。名前からは想像もできぬ魅惑的なきのこなのである。

 

まあソファーがノウタケだらけになった暁には、既婚者の男性であれば潔癖の奥方から100トンのハンマーが振り下ろされるかもしれないが、そのくらいのスリルとサスペンスがなければ人生はつまらないというものである。

 

そこまでの冒険は出来ないが、是が非にもノウタケの心地よさを味わいたいと願うお父さん方は、どこぞの寝具メーカーからノウタケの心地よさをあますところなく再現した仕様のクッションが発売されるまで待つ他はないであろう。

 

脳科学者からも茂木さんからも、そして本来のノウタケからも遥か遠ざかって、話がずいぶん東の果てまでやって来てしまったが、まあ要は、ノウタケにはそんな魅力的な側面もあるよ、ということが言いたかったわけである。

 

今ぼくの家には残念ながらソファーなるものがないので、ノウタケをクッションとしては活用できていないのが現状ではあるが、そのかわりにベットの上に三個のノウタケが抱枕として置いてあるのは言うまでもあるまい。

 

カフカのポフポフだよ。

 

ちなみに茂木さんの髪型もポフポフしていそうで、ぼくはわりと好感を持っている、何をしているかはよくわからないけれど。

 

 

 

 

 

 

月白貉