ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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サヤナギナタタケ(Clavaria fumosa)- 松江城マッシュルームマップ -

薙刀という武具がある。

 

時代劇などを見ているとちょくちょく目にすることがあると思うが、長い柄の先に反りのある刀身を装着した武具で、刀身および柄の形状共に斬撃に特化させた長柄武器のひとつである。

 

薙刀が戦場での武具として盛んに使用されていたのは源平の頃だと言われており、その後は戦争形態や戦術の変化により実践の武器としては影を潜めだす。そして最終的に薙刀は、僧侶や婦女子の用いる武具となってゆくのである。

 

そう言われてみれば、時代劇ではかならずタスキを掛けた女性が持っているイメージが強い。そしてかの武蔵坊弁慶も巨大な薙刀を携えている。

 

弁慶の薙刀は「岩融(いわとおし)」と名付けられた大薙刀で、刀身だけでも三尺五寸(約1メートル)あったとされてるが、義経記には弁慶の持つ武具として四尺二寸の「岩透」という同名の太刀が書き記されている。この二つが同一のものなのかはわからないが、さて、そろそろきのこの話に戻るとしよう。

 

というわけで、今回のハンティングきのこは「サヤナギナタタケ」である。

 

松江城マッシュルームマップ - サヤナギナタタケ -

 

シロソウメンタケ科シロソウメンタケ属のきのこで、学名を「Clavaria fumosa」、漢字で書くと「鞘薙刀茸」であろうか。

 

まるで地面から突き出てくる何かの触手の如き造形がぼくはなかなか気に入っているのだが、このいわゆるニョロニョロ系のきのこは他にもたくさんあって、思いの外たくさんの種類を見かけるようになると同定に悩んでしまう。色や造形が酷似したものを見つけると、一見しただけではちと同定が困難なものもあるなあと、最近思い始めた。

 

知識量が増えれば増えるほど、悩みも増えるのである。

 

まあとはいえ、この造形が果たして薙刀に似ているのかということに関しては、少しだけ異議ありな今日このごろである。

 

 

 

牛若丸 (新・講談社の絵本)

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月白貉