ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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ニオイコベニタケ(Russula bella)- 松江城マッシュルームマップ

まったくのきのこド素人からはじめた「松江城マッシュルームマップ」、ここ数ヶ月きのこのことばかり考えていたら少しだけきのこのことがわかってきた。

 

ぼくは基本的に実践主義なので、まずはやってみる。経験として、間違った道に進んだとしてもそこで気付くことや学ぶことがたくさんある。詳細な道標が示された地図を渡されて、何一つ迷うことなく目的地に辿り着いたところで、いったいなにがおもしろいんだろうとぼくは思うわけである。

 

いままでハンティングしてきたきのこも、最初の頃を見返してみると、ずいぶん種類が間違っている。でもまあそれも一興、食べられると思って毒きのこ食べちゃって死んだって、幻覚性のきのこ食べて裸で街を練り歩いて警察に捕まったって、それもまた一興だとぼくは思ったりする。

 

ただし最初にも書いているが、ぼくの書いた情報は間違っていることが大いにあるので、この記事を参考にした誰かさんのきのこの扱いに関しては一切関知しないのでそのつもりで。きのこに関しては、自己責任で計画的に願いたい。「このきのこ食べられるって書いてあるから、夫の酒の肴に出したら二日後に中毒で死んだよ!」と言われても、知ったこっちゃあないということである。

 

さて、前置きが長くなったが、今回のきのこについても、間違って認識していたひとつである。

 

というわけで、今回のハンティングきのこは「ニオイコベニタケ」である。

 

ニオイコベニタケ(Russula bella)- 松江城マッシュルームマップ -

 

ベニタケ科ベニタケ属のきのこで、学名を「Russula bella」、漢字で書くと「臭小紅茸」。

 

食用は不適とされているが、塩蔵して冬に食べる習慣がある地域もある。

 

ぼくはこのきのこをしばらくの間ずっと「ドクベニタケ」の幼菌だと認識していたのだが、いろいろときのこのことを調べているうちに、おいおいちょっとまてよと思い、もっときちんと識別するべく匂ったりかじったりしてみた。

 

まずドクベニタケとの大きな違いはその大きさで、ニオイコベニタケは名前にもあるように成菌でもずいぶんと小柄である。カサの直径がだいたい2cmから5cmくらい。そして次にこれは素人が試すにはちょっとハードルが高いが、かじってみた時の辛味具合である。ドクベニタケには辛味があるが、ニオイコベニタケには辛味がない。

 

そして決定的な判断基準としては匂いである。ニオイコベニタケは、名前に「ニオイ」とあるだけにちょっと独特の匂いを持っている。

 

カブトムシの匂いがするのである。

 

この匂いを嗅いではじめてぼくはこれがニオイコベニタケだということを明確に理解し、その際に体に稲妻が走ったのは言うまでもない。

 

ちなみにカブトムシの匂いがわからないという紳士淑女の諸君は、夏が終わる前に必死で山中を駆けまわりカブトムシを捕らえてその体の匂いを嗅ぐことをおすすめする。なにごとも経験なくして学ぶことは出来ないのである。

 

さらにぼくはもう一種類、安易にドクベニタケだと誤認識していたきのこがあるのだが、それはまた別の機会にお話しよう。

 

ニオイコベニタケを認識した記念すべき日は、カブトムシの匂いを知っていることが、人生で初めて役に立ったステキな一日でもあった。

 

 

 

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