ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲が自らの感覚で日本を歩きまわって見聞を広めたように、故郷を離れて旅を続けるぼくが、ぼくの感覚でその土地を歩き回って、見たり聞いたり嗅いだり触ったりした、ぼくの見聞録です。

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神隠し

「そういえば坂田さんとこの史郎ちゃん、おとといから行方不明だって!

 

あんた同級生だったでしょ。今テレビのニュースで流れてて、お母さんびっくりしちゃってさ、さっき自治会長さんに用事があって電話したんでちょっと聞いてみたらさ、やっぱり本当みたいで、おとといの夜に犬の散歩に行ったきり家に戻ってこなくて、家族でほうぼう探しまわったけど見つからないんだってさ、それで昨日の夕方に警察に届けたって・・・。」

 

坂田史郎なんて名前はもう随分昔に忘れていたが、帰省した実家の玄関での母の開口一番の話を聞いて彼の顔が思い浮かんだ。

 

「なんだか近所の噂じゃさあ、一年前くらいからちょっと心の病気になっちゃって、仕事もやめてほとんど家の中から出ないんだって話だったけれど、でもお母さんときどき買い物の帰りなんかに道で会うことがあってさ、いつも犬の散歩中でさ、『こんにちは。』って笑顔で挨拶してくれるから、なにも病気なんかには見えないよねえってお父さんとよく話してたのよ。」

 

「ほら、もう玄関で立ち話はいいから、早く入って真也にお茶でも出しなさいよ。」

 

話に夢中になると止まらない母に、台所の奥から父が声をあげる。

 

「お父さん、それでどうなったって、史郎ちゃん、まだ見つからないんだって?」

 

「ああ、なんかねえ、どうも足取りがよくわからないって、さっき健ちゃんが言ってたよ。あれだろ最近商店街にも防犯カメラがほうぼうに設置されただろ、二年前くらいの酔っぱらいの暴行事件のせいで。それで警察の方で調べてるらしいんだけど・・・なんか変な話があってさ。」

 

「なによ変な話って?」

 

「その時間の防犯カメラに坂田さんの家の犬だけが歩いてるのがほうぼうでうつってるんだってさ・・・なんだっけあの犬の名前は?」

 

神隠し

 

「ああ、カムイちゃんね、カムイちゃん。カムイちゃんは帰ってきてるの??」

 

「いや犬も史郎くんと一緒にいなくなってるって・・・でも防犯カメラにうつってるのはその犬だけだって、さっき健ちゃんが。」

 

その話を聞いていたぼくは、あることを思い出した。ぼくが小学生の頃に学校中で噂になっていた神社の森のことだ。

 

 

 

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月白貉