ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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シラウオタケ[キリタケ](Lentaria mucida)- 松江城マッシュルームマップ -

時々スーパーマーケットの鮮魚売り場でシラウオなるものを目にすることがある。

 

体が半透明の小さな細長い魚で大型のシラスのような風貌である。寿司ネタとして軍艦にされている体も見かけたことがある。ふと考えると、ぼくはまだシラウオというものを食べたことがない。

 

ちなみにシラウオに酷似した魚にシロウオという種類がいる。

 

生態や容姿、また食用にされる際の調理法などもよく似ていて、ときに混同されるとのことだが、シラウオがキュウリウオ目シラウオ科に分類されるのに対して、シロウオはスズキ目ハゼ科に分類されるため、分類上はまったく異なった魚である。

 

というわけで余談が長くなったが、今回のハンティングきのこは、そのシラウオから名前をとったであろうきのこ、「シラウオタケ」である。

 

松江城マッシュルームマップ - シラウオタケ -

 

手元の文献には、シラウオタケ属ホウキタケ科と書かれているが、別な文献にはシラウオタケ属カレエダタケ科とも書かれている。学名を「Lentaria mucida」といい、漢字で書くと「白魚茸」。

 

表面に緑藻が繁殖している湿った朽木や倒木上に発生するきのこで、一本一本独立して生活し縄張りを持っている。単細胞の緑藻と深い関係性があるとされ地衣類の一種と見る学者もいる。地衣類と見る場合の名称は「キリタケ」という。食毒はないとされているが食用には向かず、食べた人の話しによれば苦味があるという。

 

松江城で見つけた個体に関しては、緑藻の上ではあったが朽木や倒木の上ではなかったと記憶している。あるいは地中に埋もれた朽木倒木の上部に生えていたのかもしれないが、再度確認しに行った際にはたくさんのシラウオタケたちは後かたもなくどこかに消え去っていた。

 

あれはトーベ・ヤンソンが描くところのニョロニョロだったのではあるまいかと今となっては思う。ニョロニョロの本当の名前は「ハッティフナット」といい、夏至祭の前日に撒かれた種から生まれる。ハッティフナットは夕立の際の雷などから電気を吸い取り、それを糧として生きている。ある文献によれば彼らは電気トロールという種族に分類されるそうだが、詳細は不明である。

 

本家白魚からハティフナットまで多方向に話が飛び回った今回のシラウオタケ、ビジュアルこそ若干地味なきのこではあるが、ぼく個人的にはこの華奢で繊細な容姿がとても好みである。もしかしたら女性の容姿に関しても同じことが言えるのかもしれないが、その話はまた次の機会に。

 

ああ、もう一度会いたい、シラウオタケ。

 

 

 

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ムーミン谷の絵辞典 英語・日本語・フィンランド語

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月白貉