ナメクジラージルロスメモリイナム
部屋の窓を開けて空気を入れ替えていたら、ふと気づくと網戸の隙間からナメクジが忍び込んできていた。
ああ、嫌だなあと思い、すぐさま塩をかけて、しばらく放置していた。
戻ってきてみて、溶けているだろうと思ったのだけれど、溶けずに、体そのままで、ひっくり返って死んでいた。塩はそのひっくり返った死体の周りに山積まれていた。
ナメクジに塩をかけたのは十数年ぶりだけれど、溶けるんじゃなかったっけ???
仕方なく、ひっくり返った死体を紙に包んで、周りの塩も紙に包んで、捨てた。
あれ?溶けるんじゃなかったかなあ。
ときどき、いろんな記憶が信じられなくなる。
あれはナメクジじゃあなかったのだろうか、ゴミ箱の紙を開いて再び死体を見る勇気は、今のぼくには、まだないから、忘れます。
月白貉