ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

かつて小泉八雲ことパトリック・ラフカディオ・ハーン (Patrick Lafcadio Hearn)が、自らの感覚で古き日本を歩きまわって独自の感性で見聞を広めたように、遠く故郷を離れてあてどなき夢想の旅を続けるぼくが、むじなと、そしてラフカディオと一緒に、見たり聞いたり匂ったり触ったりした、ぼくと、むじなと、ラフカディオの見聞録です。

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名も知れぬ廃鉱山で笑う、クレイジークリスタル日記。

この数年で、ぼくはいろんなものを捨て去る準備ができたんだろうなあ、って、時々なんだかぼんやり思う。 置き去りにしてきた、たくさんの蔵書とか、一時狂ったように集めていたアメリカントイとか、あとはもっと大切なものも、まだ彼らは物質として、遥か遠…

醗酵する明日と、ネギとモラル日記。

あるWEBLOGに、納豆には長ネギじゃなくて玉ネギが好き、って書かれていた。 玉ネギにカラシ、それが好きだと。 それを読んで「はっ」と思い、生まれて初めて納豆に玉ネギのみじん切りを入れてみた。 その日までぼくは、納豆には長ネギしか入れたことがなかっ…

化石のように乾いた、ある朝の日記。

早朝の道端にカメが突っ伏していた。 小さいガメラみたいな姿で、たぶんイシガメの幼体だと思う。水辺からはかなり離れた場所だった。どこで生まれてどこに行こうとしていのかはわからないが、カラカラに乾いて歩を止めた状態で突っ伏しているその姿は、カメ…

モンキーモンキー、日記。

ふと、久しぶりにiPhoneの写真アルバムを開くと、iPhoneは勝手に、本当に勝手に、二年前とか五年前の写真で音楽付きアルバムなんかを作成していて、ぼくに見せつけてきた。 そんなことはわかってるよ、その頃はとんでもなく満たされていて、ぼくはパラダイス…

世界の片隅でBullshitと叫ぶ、カリフォルニア猫又日記。

少し前の日記に書いたこと。近所の公園に「猫に餌を与えるな」という主旨の張り紙がバリバリと張り巡らされた。 ただそこに少し気になることがあった。張り紙の見出しは、「猫さんに餌をあげないでくださいね。」みたいなものだった。 猫さん。 猫さん。なぜ…

WとH、それがきみの名前だったR日記。

眠っている間にみる夢とは、いったいなんなのだろう。 今朝方みた夢、夢のことは忘れがちだが唯一覚えていることがある。その夢を見ている最中、何故かこれだけは覚えておかなければと思い、必死で握りしめていたことがある。夢の中なので、その理由はよくわ…

スターシップ・トゥルーパーズっぽい、Duh、日記。

早めの夕食をはじめて、早めというのは夕方の五時頃からだが、『THE FLASH/フラッシュ』のシーズン4を観ながらの晩酌の最中、うっかり、そして豪快にグリーンカレーをぶちまけてしまった。 ちなみにグリーンカレーのお供は白飯ではなく、蕎麦。 ドラマの筋書…

23時20分の、罠日記。

日常的に文章を書かなくなって、二年ほど経つと思う。 あの日、いや、ある日と言おうか、心が粉々に弾け飛んで、砕け散って、いろんなことをやめてしまった。しばらくして、やめてしまったことを少しずつやりなおそうと思ってみたけれど、もとには戻らなかっ…

あまおと

「きみは、幽霊が・・・、怖いの?」 ぼくの顔を握りしめるように見つめる彼女の眼球は、小型の蜘蛛が部屋の隅っこに毎日毎日密かに張り巡らす糸みたいな、不規則な細い血管で覆われていた。 「えっ、いや・・・、幽霊が怖いわけじゃないよ、でも・・・、た…

ともだちがデモンズ、ほんとうはデモンズ、暗黒竜巻日記。

友だちっていったい誰なんだろう、何なんだろう。 今朝、明け方に夢から覚めて、ふとそう思った。 それまで見ていた夢の中に、古い友だちが出てきていたからだ。 夢に出てきたその友だちは、嘘つきで利己主義で、ほんとうに嫌なやつだった。そして、夢に出て…

深淵のガラクタと、新たなキャットアサシン日記。

この数ヶ月ほど、ずっと感じていたことを、少し言葉にしてみよう、というガラクタ日記。 そういうことが出来るのは、自分の中身が、中身の中身が、大いなる嵐に包まれている時だということ。「穏やかなときじゃないんだ?」と、疑問に、そして反対に思えるか…

シベリアの凍えるナイフ日記。

ヒステリア・シベリアナ 村上春樹の小説『国境の南、太陽の西』にそんな病気の名前が登場する。おそらくは架空の病名だと思う。 北方、辺境の農夫が、毎日毎日荒野を耕し続けた後に、ある日、ふと農具を捨て去って西に向かって歩き出し、そして歩き続けた挙…

アラビアではない場所で、どこでもない場所で死んだロレンスへの、短い日記。

WEBLOGを毎日書かなくなったあの日から、もう二年くらいは経ったのかな。そんなことすらも、よく覚えていない。 本当は数日前に、小さな怖い話を書こうとしていて、その種を大切に凍らせていたけれど、書けなかった。その種が芽吹くことは、いつかあるかもし…

甘く香るサイエンス・フィクション

「夢のない眠りがほしいの、いまは夢なんか見たくない、ただ眠りたいの。深く深く、真っ白く柔らかい泥土に沈みこんだいみたいに、わたしのまわりにはさ、なんにもなくなったみたいに、ただ眠りたいの。」 ホコリとかパン屑とか髪の毛にまみれた床がボツボツ…

サイハテ

「ねえ、」 10月に入っても、まだまだ夏の残照みたいなものが漂うある日、大きなおおきな嵐がゆっくりと走り去ったある日、その背後に柔らかい冷気をもたらした。 「ねえ、ハクトはさ、ありがとうって言わない人だよね。」 「えっ?」 リサが左と右の両掌で…

いつか彼方の、ギターレ交換(仮)日記。

ギターを練習していた頃があった。 まったくの独学で、何もわからないまま、ギターを練習していた。だだっ広い公園の誰もいない芝生の上に座って、何度も何度もワンフレーズだけを繰り返していた。 なぜギターを練習していたのかと言えば、あの時ぼくは、と…

みずうみ、日記

365日、そしてその次の150日くらい、湖ばかり見ていた。 湖は、透き通るような青だったり、沈みゆく緑だったり、焼けるようなオレンジだったり、陰鬱な灰色だったり、漆黒たる深い闇だったり。 結局あれは、水に映えた空の色じゃなくて、ぼくから滲み出した…

心正しき者の歩む道を阻むなかれ、ボンバーボマー日記。

やることがな〜んにもないので、ここしばらくずっと『ウォーキング・デッド』(The Walking Dead)ばかり観ている。 放送開始当時、シーズン2くらいまで観たのだけれど、途中で「オエッ」となって観るのをやめた。嗚咽したのはゾンビの腐肉が原因ではなく、…

天国とか地獄とか、狭間日記。

今日観た映画、スティーヴン・ソマーズ(Stephen Sommers)監督の『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(Odd Thomas)』、そして、リュック・ベッソン(Luc Paul Maurice Besson)監督の『アンジェラ(Angel-A)』。 ずっと雨が降っていて、一日中家の中で…

なぜなら、いま雨が降っていたから、日記

雨降る中をあえてランニングしたのは、ずいぶん久しぶりだった。 雨中のランニング、宇宙じゃないぜ、でも最後に走ったのはもう十年以上前じゃないかな。 十年も経つと少なからず体の様々な状態がその当時とは違っていてさ、あの頃は、季節はたぶん今と同じ…

スコッチピローではうまく眠れないから、キャッスルをロストするって日記。

誰かと言葉を交わす時間が減ると、誰かとはつまりたぶん人間で、言葉を交わす時間というのは、つまりたぶん自分が、頭の中を駆け巡る言葉を声に出して、誰かという対象があったうえで声に出して、自分の声という音を伴って何かしらの意思疎通を試みている時…

目を閉じちゃいけない、それが決まりなんだウォーキングジョニー日記。

ジャックダニエルで歯を磨こうと思って近所の陰気臭い酒屋に買いに行ったけれど、結局安売りしていたジョニーウォーカーとフェイマスグラウスを買って帰ってきた数日前。 ボウモアとか買おうかと迷ったけれど、この頃のうらぶれたぼくには安いブレンデッドで…

グラデーション

「夢で、あなたのことを見るの。まったく知らないどこかの職場で、すっごく古くて壁も真っ黒で、そう、工業油にまみれたような何かの工場なの。周りには女の子もいるんだけれど、誰も知ってる人がいなくて、何だかみんな顔が真っ黒ですごく怖くて。でも、知…

チクタクチクタクチクタク、クロックワークアップル日記。

ついこの間、夏は終わっちゃったのかと思ったけれど、数日の熱帯夜。残照みたいなその第二波が始まった日から、台所の曇りガラスの窓の外に大きなヤモリたちの影がうろつきはじめた。ある夜に窓を開けて姿を見ようと思ったら、そのうちの臆病な一匹が驚いて…

ロンT、日記。

日記を書こうと思って、散々延々長い文章を書いたけれど、ただただ退屈に無駄にまともなことを書いていて、読んでいて吐き気がしたので、すべて消して今に至る。 消しちゃったよ、おいおい・・・。 日記はちょっと狂っているに限る。 何を書いていたかと言う…

デス日記。

毎日見かける三匹の猫の行動パターンが、かなり複雑でまったく読めない今日このごろ。 三匹の子豚くらいわかりやすければいいんだけれど、いや、何がいいんだかわからないな、まあそれはいいや。 その他にプラス一匹、念能力の範囲がとんでもなく広くてまっ…

七時五十一分

「いま何分だ?」 「えっ?」 「時計を持ってないんだよ。」 「ああ、時間ですか、」 ぼくは慌ててズボンのポケットからiPhoneを取り出して、時刻を確かめる。 「七時五十一分です、いまは。」 老人が満足そうに笑みを浮かべてから、空を仰ぐ。 「ああ、そう…

青いバナナの香りと、日記。

今からバナナを食べようかどうしようか、たぶんもう一時間くらい迷っている。 それが人の生き方なのさ。 迷う時間を惜しいとは思わない。ずっと迷ってばかりだし、その迷いに明確な答えが出たことなんて、考えれば一度もない。そして今までにどれだけ迷いが…

彼方より、日記。

ぼくは、おそらくだが、戻る場所を失ってしまった。 誰も彼もが、戻る場所を持っているわけじゃないことは知っている。ただ、多くの誰かには戻る場所があるはずさ。戻る場所があるってことは、帰る場所があるってことは、たぶん、たぶんそれは大きな救いなん…

ホルロードの影日記

時々くじける。 時々っていう時間軸、時間の感覚か、そういうこと人それぞれだろう。年に一回とか、月に一回とか、週に一回とか、一時間に一回とかさ、でもたぶん、みんな日々の中で、毎日数回はくじけるだろ? ぼくはくじける。日によるが、一日に数回くじ…