前回の話:第九章 - 猫の爪 曲がりくねった坂を下り終え、その先の住宅街の中にまっすぐと伸びる薄暗闇に包まれた道に弾丸のような速さで突入したぼくは、刹那ほどの時間だけ目を閉じて改めて静かに呼吸を整えなおし、無心に足を駆りたて、手を振り続ける。 …
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