2016-07-31から1日間の記事一覧
花火は好きだが、花火大会なんてもので、わざわざ怒涛の如き人混みに洗われながら、もみくちゃになりながら、空に散る花火なんか見ても、ひとつも楽しいものだとも、美しいものだとも思えない。 「あの橋のね、欄干にこうやって、ちょいと肘なんか掛けて見る…
自宅の庭にある家庭菜園に、人間の成人男性を遥かに超える大きさの、蟷螂のようなものが立っているのを見たのは、もう真夜中を過ぎた頃だった。 寝苦しい熱帯夜に揺り起こされて徐ろに目を覚まし、暗闇に包まれた部屋の中を、病院内をヨタヨタと歩く重病人の…
ぼくは自分のぬか床を持っている。 数年前に東京に住んでいる頃にもぬか床を持っていて、確か二年ものくらいだったと記憶しているが、それはちょっとした管理不足でダメにしてしまった。 東京を離れた今、再度ぬか床を育てようと思い立ち、今度は完全に無農…
この話は、いつかどこかの真夜中の、普通の階段にまつわる怪談の十四話目です。前の話を読みたい方は、以下のリンクから、どうぞご自由に。 大通り沿いの目についたガストに入ったぼくたちは、クーラーの効いた店内のソファーに、三者三様にため息をつきなが…
この話はおそらく、真夜中の階段にまつわる怪談の十三話目くらいです。前の話を読みたい方は、以下のリンクから御覧ください。 占い師の老婆は、その日姿を現さなかった。 ユカさんの話だと、その老婆は石神井公園の一角に、ボロボロの小さな木製の丸テーブ…