ぼくと、むじなと、ラフカディオ。

ぼくは子供の頃から運動が嫌いだった。

そして嫌いだったので苦手だった。苦手だったから嫌いだったのかもしれない。

タマゴが先にあったのかニワトリが先にあったのか、そういうことである。

だから小学生の頃も、中学も高校も、体育は酷い有様だった。だってまったくやる気が起きないのである。やる気が無いことを無理やりやらなければいけないことほど、苦しく、そして無意味なことはない。そして大学に入ってまで必修で体育を取らなくてはいけないなんて日本の教育は気が狂っていると思った。ただ大学の体育は好きな種目を選択することができたので、ぼくはあまり運動っぽくないアーチェリーを選択したら、男子はぼくしかいなかった。ある意味ではハーレムだったが、シャイなぼくはただ真剣にアーチェリーの授業をこなすだけで、ハーレムらしいことは一切しなかった。

そんな運動嫌いだったぼくが、なぜか大人になってから、自主的にジョギングをしたりプールで泳いだりするようになった。なぜかはよくわからないが最初は単に、痩せて筋肉をつけて女の子にモテたいという邪な考えからはじめたような記憶がある。

大学一年の夏休みに、当時ちょっと太り気味だったぼくは独自にダイエットを敢行する。

方法としては、毎日8キロ走って、その後プールで確か1キロくらい泳ぎ、食事を野菜メインにして白米とか脂物を減らすという、割りとまともなものである。

結果としては一ヶ月で約10キロのダイエットに成功する。

夏休み明けに大学にゆくと、「ちょ〜痩せたじゃん！カッコよくなったよ！」と賞賛される。しかしその後、大学四年間一切女の子にはモテず、好きな女の子に告白してもフラレ続け、まったく女性と縁遠い生活を送っていた。

しかしそのダイエットの夏を終えてから、ダイエットとは関係なく自主的に走ったり泳いだりするようになった。そういった運動の後の何やら気だるいけれど心地よい爽快感がちょっと病みつきになったのかどうかは定かではない。ただ、走るのも泳ぐのも、ひとりの孤独な運動である。運動全般が好きになったのではなく、そういうのが好きになったのかもしれない。おそらく運動でもチームプレイが必要なゲームチックなものは、この先も好きになれないと思う。

まあそんなこんなで、今でもなるべく毎日走っている。近くにプールがあれば泳ぐほうが好きなのでそちらを選びたいのだが、残念ながらプールがない。だから何もなくても地面があれば出来るジョギングを続けている。まあ昨今走る距離は通常は5キロ程度である。調子が良ければ10キロくらい。ただ、いつも走り出す前は大抵憂鬱なのがちょっと不思議、「やだなあ、はしりたくないニャア。」といつでも思いながら走り始める。でも走り終えて家に帰ってきた時に、なかなかの快感みたいなものがある。

まあそうやって大学の頃から走り続けてもうずいぶん経つが（途中やめていた時期もあるが）、マラソン大会というものには出場したことがない。おそらくだが、あのワラワラと大勢で走る感じを無意識に嫌っているのだと思う。

でも、ちょっと長距離を走ってみたいという欲求は随分前からある。「だったら勝手にひとりで走れよ。」というわけで、ずいぶんと満を持して、まずはハーフマラソン想定で走ってみることにした。約21キロちょい。少し前にもハーフマラソン想定で走ってみたことがあったのだが、途中で道に迷ってしまって結局途中から歩いてしまったので、再度の挑戦となる。

結果として約23キロ先の目的地に、だいたい2時間ちょいくらいで到着した。大会に出場したことがないのでタイム制限的なことはよくわからないが、ハーフマラソンには出場できそうである。

調子に乗ってそのまま往復すればフルマラソンだと思い、うっかり走り出したのだが、途中でバテた。だいたい30キロくらいでもうバテバテで、終了。しばらく歩いてゴールを目指したが、途中で電車に乗ってしまった。

フルマラソンのハードルは今のぼくにはちょっと高かった。気力の問題かもしれない。

だから今日は疲れちゃった。もう眠いニャア。疲れたりお腹が空いたり嫌なことがあると、猫がとり憑く。

いつか、そんな猫憑きのぼくがホノルルマラソンに出場する日が来るだろうか。

マラソン関係なく、ハワイは行きたいニャア。

初秋の勝手にひとりハーフマラソン開催、走れるのか走れないのかどっちニャンだい日記。